第99回薬剤師国家試験

◆ 問343

治療薬物モニタリング(TDM)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • タクロリムスは、血清試料を用いて測定する。
  • アミカシン硫酸塩は、血中濃度を一定に維持する投与方法が望ましい。
  • ジゴキシンを測定対象とした時の採血は、定常状態に達した後の追加投与前が望ましい。
  • 血清バンコマイシン濃度が、ピーク値として60 µg/mL以上の時、有効治療域となる。
  • 血清リチウム濃度のトラフ値が2.0 mEq/Lを超えたときは、減量・休薬が必要となる。

◆ 問343

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


タクロリムスは血球と血漿間の薬物分配が室内温度や放置時間により変動することがあるため、TDMを行う際には、全血試料を用いる。


アミカシン硫酸塩は濃度依存型の抗生物質であるため、最高血中濃度を高くすることにより抗菌作用が強くなる。また、アミカシン硫酸塩の最低血中濃度(トラフ値)が一定濃度以上に維持されると、腎障害を起こしやすくなる。このため、アミカシン硫酸塩を投与する際は、以下のことに注意する必要がある。
・最高血中濃度を高くなるようにする。
・トラフ値を一定値以下に下げるようにする。


ジゴキシンを測定対象とした時の採血は、定常状態に達した後のトラフ値を示す時間(投与前)が望ましい。


バンコマイシンの有効治療域は、ピーク値:25〜40 µg/mL、トラフ値:5〜10 µg/mLである。なお、バンコマイシン濃度の副作用発現域は、ピーク値:60 µg/mL以上であることから、血清バンコマイシンの濃度がピーク値として60 µg/mL以上の時、副作用が発現する可能性が高くなる。


リチウムの有効治療域は、0.4〜1.2 mEq/Lであるため、血清リチウム濃度のトラフ値が2.0 mEq/Lを超えたときは、減量・休薬が必要となる。