第100回薬剤師国家試験

◆ 問166

薬物の吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 口腔粘膜から吸収される薬物は、肝初回通過効果を回避できるが、小腸と比較して口腔の粘膜が非常に厚いため、速やかな吸収が期待できない。
  • 肺からの薬物吸収は、一般に、Ⅰ型肺胞上皮細胞を介した単純拡散によるものである。
  • 皮膚の角質層の厚さには部位差があることから、薬物の経皮吸収も部位により大きく異なることがある。
  • 鼻粘膜は、主に吸収を担う多列繊毛上皮細胞が密に接着していることから、バリアー機能が高く、一般に薬物吸収は不良である。
  • 坐剤の適用は、即効性は期待できるものの、経口投与時と同程度に肝初回通過効果を受ける。

◆ 問166

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


口腔粘膜から吸収される薬物は、肝初回通過効果を回避することができ、また、小腸と比較して口腔粘膜は薄いため、速やかな吸収が期待できる。


肺からの薬物吸収は、一般に、Ⅰ型肺胞上皮細胞を介した単純拡散によるものである。
・Ⅰ型肺胞上皮細胞
極めて薄い膜状の単層扁平な細胞で、ガス交換に関与している。
・Ⅱ型肺胞上皮細胞
立方体の大型な細胞で、肺サーファクタントの分泌に関与している。


角質層は、皮膚の最も外側に存在しており、経皮からの薬物吸収に大きく関与している。皮膚の角質層の厚さには部位差があることから、薬物の経皮吸収も部位により大きく異なることがある。


鼻粘膜は、主に吸収を担う多列繊毛上皮細胞が密に接着しているが、薄く、バリアー能が低いため、一般に鼻粘膜を介した薬物の吸収は良好である。


坐剤により投与された薬物は、肝初回通過効果を回避することができ、速やかに効果を発揮するため、即効性を期待できる。