第100回薬剤師国家試験

◆問232-233

41歳男性。山歩きの時に採取したきのこや山菜を、おひたしにしてその日の夕食で食べたところ、1時間後に口唇のしびれが出現した。症状が次第に悪化し、激しい嘔吐、四肢のしびれ、呼吸困難を起こしたため、救急搬送された。病院到着時に重篤な心室性不整脈が出現したため、アミオダロン塩酸塩注射液が投与された。

◆ 問232

アミオダロン塩酸塩注射液を使用する際の注意事項として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 希釈する場合は、生理食塩液を用いる。
  • 点滴静注する場合は、滴下型の持続注入ポンプを使用する。
  • 投与開始後は、心電図の連続監視下で患者の状態を把握する。
  • 投与開始後は、肝機能モニタリングを実施する。

◆ 問233


◆ 問232

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、4


本剤を希釈する際には、ブドウ糖を用いる。なお、本剤を生理食塩液で希釈すると、塩析が起こり、沈殿が生じることがある。


本剤は、容量型の持続ポンプを用いて投与する。なお、本剤を投与する際、滴下型の注入ポンプを用いると、液滴サイズが縮小することがあり、過少投与になるおそれがある。


本剤は重大な副作用として、心不全、Torsades de pointes、徐脈からの心停止などを起こすことがあるため、心電図の連続監視を十分に行い、異常が認められた場合は、投与を中止する等の適切な処置を行うこととされている。


本剤投与後24時間以内に重篤な肝障害を生じ、肝不全や死亡に至ることがあるため、本剤投与後よりAST(GOT)及びALT(GPT)等の肝機能の慎重なモニタリングを行い、異常が認められた場合には、減量あるいは投与を中止するなど適切な処置を行うこととされている。

◆ 問233

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


本症状(口唇のしびれ、激しい嘔吐、四肢のしびれ、呼吸困難、重篤な心室性不整脈)の原因として最も可能性が高いのは、トリカブトに含まれる有毒成分であるアコニチンである。


ツキヨタケ(有毒成分:イルジンS)は中毒症状として、悪心・嘔吐・下痢などの胃腸障害を引き起こす。


タマゴテングタケ(有毒成分:α−アマニチン)は中毒症状として、コレラ様の激しい下痢、肝臓や腎機能障害を起こす。


ジギタリス(有毒成分:ジキトキシン)は中毒症状として、悪心・嘔吐・不整脈等を引き起こす。


ワラビ(有毒成分:プタキロシド)は、発がん性を有する。