第100回薬剤師国家試験

◆問304-305

25歳女性。急性骨髄性白血病に対して同種造血幹細胞移植術が施行された。ある時期から38℃以上の発熱が10日間以上続き、肺右下葉の気管支肺胞洗浄液の所見に基づいて侵襲性肺アスペルギルス症と診断された。なお、この診断がなされた時点での患者のクレアチニンクリアランス値は20.5 mL/minであった。

◆ 問304


◆ 問305

この患者に対して、イトラコナゾール注射剤は使用できないと病棟薬剤師は判断した。その理由として、正しいのはどれか。1つ選べ。なお、イトラコナゾール注射剤には、1%イトラコナゾールの他に添加剤としてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、プロピレングリコール、塩酸を含む。
  • イトラコナゾールがアスペルギルス症に対して無効であるため
  • イトラコナゾールが腎排泄型薬物であるため
  • イトラコナゾールが肺に移行しないため
  • 添加物が腎機能を低下させるため
  • 添加物が造血幹細胞の増殖を抑制するため
  • 添加物に催奇形性があるため

◆ 問304

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


本感染症は、好中球減少症など免疫機能が低下した患者で発症しやすい。


温泉や24時間入浴機器の使用が感染源となりやすいのは、レジオネラ感染症である。


本感染症の原因となるアスペルギルス属の真菌が空調機器等を介して病棟に運ばれ、院内感染を引き起こすことがある。


本感染症は真菌感染症であり、細菌による感染症ではない。


本感染症に罹患すると、真菌細胞壁の構成成分である(1,3)-β-D-グルカン濃度が血液中で増加する。

◆ 問305

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


イトラコナゾール注射液には、溶解補助剤としてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが含まれており、これが腎組織に蓄積することによる腎機能低下を起こすことがある。そのため、本剤はクレアチニンクリアランス値が30 mL/分未満である高度腎機能障害患者には投与することができない(投与禁忌)。