第100回薬剤師国家試験
◆ 問344
65歳男性。身長178 cm、体重75 kg。食道がんの術前・術後の栄養管理に栄養サポートチーム(NST)が関与することになった。ただし、本患者の食道に通過障害はあるものの、水分摂取は可能で食道以外に障害はなかった。術後においても、水分摂取は可能であった。この患者に対する栄養療法に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。-
術前の栄養管理は、経腸栄養療法は実施できない。
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術後の栄養管理には、経腸栄養療法が適している。
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末梢静脈栄養療法では、1日あたりに必要となる糖質量を投与することができない。
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経腸栄養剤としては、半消化態栄養剤よりも成分栄養剤の方が適している。
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経腸栄養療法よりも、中心静脈栄養療法の方が感染性リスクは少ない。
◆ 問344
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:2、3
問題文に「本患者の食道に通過障害はあるものの、水分摂取は可能で食道以外に障害はなかった」とあることから、本患者の食道以外の消化管は機能していると考えられる。本患者のように消化管が機能している場合においては経腸栄養療法を行うことが望ましい。
静脈栄養療法おいて、1日あたりに必要となる糖質量を投与するには、高濃度(高浸透圧)の糖質輸液を投与しなければならない。末梢静脈より高浸透圧の糖質輸液を投与すると細胞が壊死するおそれがあるため、末梢静脈栄養療法では、1日あたりに必要となる糖質量を投与することができない。
本患者の食道以外の消化管は機能していると考えられるため、成分栄養剤(吸収するために消化機能を必要としない栄養剤)よりも半消化態栄養剤(吸収するために消化機能を有する)の方が適している。
経腸栄養療法よりも、中心静脈栄養療法の方が感染性リスクは高い。