第101回薬剤師国家試験
◆ 問182
65歳男性。慢性閉塞性肺疾患の既往歴あり。数年前から労作時に息切れ、動悸を覚えるようになった。数日前から風邪様症状が出現し、夜間咳嗽、喀痰とともに起坐呼吸の状態となった。身体所見:身長172 cm、体重69 kg、血圧140/85 mmHg、脈拍108/分(不整)、頸静脈怒張、収縮期雑音、下肢の浮腫著明。
検査所見:BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)716 pg/mL(基準値18.4 pg/mL以下)。
胸部X線写真:心胸郭比(CTR)71.5%、心電図:心房細動と左室肥大。
この患者に対する治療薬について、医師から薬剤師に相談があった。提案すべき治療薬として適切でないものはどれか。2つ選べ。
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リシノプリル水和物
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フロセミド
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カルペリチド
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メキシレチン塩酸塩
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リキシセナチド
◆ 問182
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:4、5
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が上昇していることに加え、起坐呼吸や頸静脈怒張が認められていることから、本患者は、慢性心不全(急性増悪期)の可能性がある。また、心電図結果より不整脈(心房細動)に罹患していると考えられる。
1 適切である
リシノプリル水和物は、アンギオテンシン変換酵素阻害薬であり、慢性心不全の治療に用いられる。
2 適切である
フロセミドは、ループ利尿薬であり、慢性心不全の治療に用いられる。
3 適切である
カルペリチドは、α型心房性ナトリウム利尿ペプチド製剤であり、急性心不全や慢性心不全の急性増悪期の治療に用いられる。
4 適切でない
メキシレチン塩酸塩は、Ⅰb群に分類されている抗不整脈薬であり、頻脈性不整脈(心室性)の治療に用いられるが、心房細動の治療には用いられない。
5 適切でない。
リキシセナチドは、GLP−1受容体刺激薬であり、2型糖尿病の治療に用いられる。