第101回薬剤師国家試験

◆問284-285

65歳男性。在宅で高カロリー輸液療法を実施することとなった。かかりつけ薬局の薬剤師が、高カロリー輸液の調製と安全使用に関する実地研修を受けるため、病院の薬剤部を訪れた。

◆ 問284


◆ 問285

糖・電解質水溶液からなる室とアミノ酸水溶液からなる室が、隔壁によって、2室に分けられた構造の高カロリー輸液剤(ダブルバッグ製剤)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 通例、保存剤が添加されている。
  • バッグを両手で強く押すことにより、隔壁部を開通させる。
  • 2室に分かれているため、混合するまでメイラード反応を回避できる。
  • 脂肪乳剤を同時に投与する場合は、糖・電解質水溶液からなる室に混合する。
  • 混合した製剤は、2時間以内に全量を投与する。

◆ 問284

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


1 正

高カロリー輸液の混合には、無菌室(クリーンルーム)あるいはNASA規格のクラス100のクリーンベンチを用いることが望ましい。

2 誤

コアリングとは、注射針がゴム栓を削り取りゴム片が薬液に混入することである。コアリングを防止するためには、ゴム栓面に対して注射針を垂直にゆっくり刺す必要がある。

3 誤

高カロリー輸液投与時には、重篤なアシドーシスの発現を防止するため、ビタミンB1を添加する必要がある。

4 正

総合ビタミン剤は、光で分解されやすいビタミンA、K、Dなどを含有しているため、投与間際に混合する。総合ビタミン剤を配合した後は、配合したビタミンが分解しないように輸液バッグ全体を遮光する。

◆ 問285

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、3


1 誤

通例、注射剤には必要に応じて添加剤(溶解補助剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、等張化剤など)が含有されているが、大量に投与する輸液には、保存剤は添加されていない。

2 正

ダブルバック製剤は、バッグを両手で強く押すことにより隔壁部を開通させ、溶液を混合して用いる。

3 正

メイラード反応とは、ブドウ糖(還元糖)とアミノ酸が反応し、褐色色素であるメラノイジンが生成する反応である。ダブルバック製剤では、糖とアミノ酸が分離されているため、混合するまでメイラード反応を回避できる。

4 誤

脂肪乳剤を輸液に混合すると、脂肪乳剤の安定性が損なわれる。そのため、脂肪乳剤は輸液と混合せず末梢静脈から投与する。

5 誤

混合した輸液製剤は、24時間以内の全量を投与する。