第102回薬剤師国家試験

◆問200-201

64歳男性。COPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断され、チロトロピウム臭化物水和物(1日5 µg)とサルメテロールキシナホ酸塩(1日100 µg)の吸入を継続的に行っていた。日常の薬物治療のアドヒアランスは良好であった。受診から2年後、この男性は呼吸困難と38.1℃の発熱を訴え、肺からはラ音が聞こえたため感染症が疑われ緊急入院となった。パルスオキシメーター(オキシメトリー)で測定したところSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)は92%であった。喫煙歴44年であり、若い頃から1日30〜40本吸っていた。COPD発症を機会に禁煙指導を受けていたが、1日10本程度吸っていたという。
酸素吸入の他に、増悪期の薬物治療として医師は以下に示した処方薬と注射用抗菌薬を投与することとした。
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◆ 問200

感染症の疑いにより投与される注射用抗菌薬として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • アジスロマイシン水和物
  • リネゾリド
  • アルベカシン硫酸塩
  • ベンジルペニシリンカリウム
  • バンコマイシン塩酸塩

◆ 問201


◆ 問200

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、喫煙などにより長期間有害物質を吸引した結果、肺に炎症が起こり慢性的に閉塞性の換気障害をきたす疾患である。本患者は、38.1℃の発熱を訴え、肺からラ音が聞こえていることから、感染症が疑われている(設問の内容より原因菌は不明)。

本患者のようにCOPDに罹患していて、原因菌が不明な感染症に対しては、注射用アジスロマイシン水和物が用いられる。

◆ 問201

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


ランベルト・ベールの法則では以下の式が成立する。
A=k・c・l
A:吸光度、k:吸光係数、c:濃度、l:層長

<665 nmにおける吸光度を求める。>
吸光度にはHbとHbO2のみが寄与するものとすると記載されていることから、665 nmにおける吸光度はHbによる吸光度とHbO2による吸光度の和で表される。
Hbによる吸光度=0.6×[Hb]×l
HbO2による吸光度=0.1×[HbO2]×l
665 nmにおける吸光度=0.6×[Hb]×l+0.1×[HbO2]×l

<880 nmにおける吸光度を求める。>
吸光度にはHbとHbO2のみが寄与するものとすると記載されていることから、880 nmにおける吸光度はHbによる吸光度とHbO2による吸光度の和で表される。
Hbによる吸光度=0.15×[Hb]×l
HbO2による吸光度=0.2×[HbO2]×l
880 nmにおける吸光度=0.15×[Hb]×l+0.2×[HbO2]×l

<[Hb]と[HbO2]の比を求める。>
ある血液試料の665 nmと880 nmにおける吸光度(A665、A880)を測定したところ、その比(A665/A880)が0.8となったと記載されていることから、[Hb]と[HbO2]の比を以下のように求めることができる。
0.8=(0.6×[Hb]×l+0.1×[HbO2]×l)÷(0.15×[Hb]×l+0.2×[HbO2]×l)
0.12[Hb]+0.16[HbO2]=0.6[Hb]+0.1[HbO2
0.06[HbO2]=0.48[Hb]
[HbO2]=8[Hb]
[HbO2]:[Hb]=8:1
これらのことから、設問にある酸素飽和度の式を用いて、血液試料の酸素飽和度を以下のように求めることができる。
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