第102回薬剤師国家試験

◆問288-289

38歳女性。肺結核と腰痛に対して以下の薬剤を服用していた。今回、同じ薬剤が処方されたが、最近、「新聞が読みにくくなった」などの視力障害を訴えた。
102回問288-289画像1

◆ 問288


◆ 問289

本症例の病態と薬物治療に関する説明として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 結核菌は接触感染によって伝搬する。
  • 血痰の有無により、他の呼吸器感染症と鑑別できる。
  • 飲み忘れなど不規則な抗結核薬の服用は、結核菌が薬剤耐性を獲得する原因となる。
  • 視力障害の原因薬は、いったん中止し、視力が回復したら再開する。
  • 唾液や涙液が橙赤色になることがある。

◆ 問288

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2、3、4、5


1 正
リファンピシンとエタンブトール塩酸塩を併用すると、機序は不明であるがエタンブトール塩酸塩の視力障害が増悪するおそれがある。

2 正
イソニアジドは重大な副作用として、視神経炎、視神経萎縮を起こすことがあり、それにより視力障害を来すことがある。

3 誤
ピラジナミドを服用することにより視力障害が現れるとの報告はない。

4 正
エタンブトール塩酸塩は重大な副作用として、視力障害を起こすことがある。エタンブトールによる視力障害は発見が遅れ高度に進行すると非可逆的になることがあるため、視力検査等を定期的に行い、異常が認められた場合には投与を中止することとされている。

5 誤
ロキソプロフェンNaを服用することにより視力障害が現れるとの報告はない。

◆ 問289

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


1 誤
結核菌は飛沫感染、飛沫核感染により伝搬する。

2 誤
肺結核では、咳、痰、胸痛、血痰、発熱、倦怠感等の症状を呈する。これらの症状は肺真菌症などでも認められるため、血痰の有無により肺結核と他の呼吸器疾患とを鑑別することは困難である。
そのため、肺結核を鑑別するためには、起因菌培養検査は必須である。

3 正
飲み忘れや患者の自己判断による服用の中断など不規則な抗結核薬の服用は、結核菌が薬剤耐性を獲得する原因となる。そのため、抗結核薬による治療を行う際には、直視監視下短期化学療法(DOTS:directly observed treatment short course)などを実施し、抗結核薬のコンプライアンスを向上させることが重要である。

4 誤
エタンブトールによる視力障害は進行すると不可逆的となるため、エタンブトール服用中に視力障害が現れた場合には投与を中止し、視力が回復しても再投与は控える必要がある。

5 正
リファンピシンを服用することにより、尿、便、唾液、涙液、汗等の分泌物が橙赤色になることがある。