第102回薬剤師国家試験

◆ 問332

73歳女性。再発非小細胞肺がんのため、ゲフィチニブ錠250 mgを1日1回服用していたが、軽度の肝機能低下(AST 90 U/L、ALT 63 U/L、ALP 255 U/L)が現れたため処方1が処方された。3週間後、血清カリウム値が3.2 mEq/Lとなったため処方2が追加された。1ヶ月経っても血清カリウム値が3.1 mEq/Lのままであるうえ、血圧が163/91 mmHgとなったため、処方3が追加された。現在では、処方1〜3すべてを服用している。
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女性が、だるくてむくみがあるといって、かかりつけ薬局を訪れた。薬剤師は、処方医に対して以下のような提案をした。提案として最も優先順位が高いのはどれか。1つ選べ。
  • グリチルリチン酸−アンモニウム・グリシン・DL−メチオニン配合錠の服用中止を提案する。
  • 塩化カリウム徐放錠の服用中止を提案する。
  • オルメサルタン メドキソミル錠の服用中止を提案する。
  • スピロノラクトンの追加を提案する。
  • フロセミドの追加を提案する。

◆ 問332

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1


本症例では、ゲフィチニブ使用による肝機能低下に対して、肝機能を改善する目的で(処方1)グリチルリチン酸-アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠が処方されており、その後、カリウム値が低下しているため、(処方2)塩化カリウム徐放錠が処方されたが、低カリウムが改善されない上、高血圧が認められたため、(処方3)オルメサルタン メドキソミル錠が処方されている。

上記の内容より、本患者には、(処方1)に含まれるグリチルリチンにより偽アルドステロン症(低カリウム血症、高血圧、四肢の筋力低下など)が現れていると考えられる。

偽アルドステロン症が発現した場合には、第一に原因薬物を中止する必要があるため、本症例では、グリチルリチン酸-アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠の服用を中止するように提案する必要がある。