第104回薬剤師国家試験

◆問230-231

28歳女性。 8月10日の夜間に下痢、発熱、腹痛を訴えて救急外来を受診した。医師が問診したところ、同日の昼間に料理教室で卵を用いた洋生菓子を作り、それを食べたとのことであった。一緒に料理教室に行った友人5人も同じ物を食べ、同じ症状を訴えているという。問診の結果から、医師は細菌性食中毒を疑い 抗菌薬を投与することにした。

◆ 問230

患者の受診当日、医師は、処方可能な経口抗菌剤について薬剤師にアドバイスを求めた。薬剤師が提案すべき薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • バンコマイシン塩酸塩散
  • クラリスロマイシン錠
  • イトラコナゾール錠
  • レボフロキサシン錠
  • イベルメクチン錠

◆ 問231


◆ 問230

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


下記のことから、本症例における食中毒の原因は、サルモネラ属菌によるものと推察される。
・卵を用いた洋生菓子を食べたことにより、食中毒の症状(下痢、発熱、腹痛)が現れたこと
・潜伏期間が約半日であること
・細菌性の食中毒が疑われていること
・細菌性毒素が検出されなかったこと
問230の選択肢のうち、サルモネラ属菌に有効な抗菌薬は、レボフロキサシン錠である。

◆ 問231

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


本問の原因菌はサルモネラ属菌である(問230参照)。サルモネラ属菌は、グラム陰性、通性嫌気性桿菌であり、主にヒトや動物の腸管に広く生息し、鶏肉や鶏卵を汚染することが多くみられる。本菌は鶏卵の表面の汚染だけではなく、親鶏に感染した菌が卵へ移ることもあり、卵の中まで汚染されることがあり、特に卵黄中で菌は増殖しやすい。そのため、卵料理の加熱が不十分だった場合、本菌による食中毒が発生することがある。本菌の潜伏期間は6〜72時間(平均12時間)であり、症状としては、下痢、腹痛、発熱、嘔吐などがみられやすい。本問で問われている細菌とその特徴を以下に示す。
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