第104回薬剤師国家試験

◆問258-259

63 歳男性。根治切除不能な悪性黒色腫と診断され、外来化学療法でニボルマブが投与されることになった。薬剤師が初回投与時に患者のもとを訪れ、抗がん薬の特徴や注意すべき副作用の説明を行うことになった。

◆ 問258

ニボルマブの市販後に報告されている以下の副作用のうち、その作用機序から考えて、間接的に生じると思われる副作用として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 間質性肺炎
  • 低血糖
  • 重症筋無力症
  • 下痢
  • 甲状腺機能障害

◆ 問259


◆ 問258

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2


ニボルマブは、モノクローナル抗体であり、活性型T細胞の表面に発現するPD−1に作用し、PD−1とPD−L1及びPD−L2との結合を阻害することによりT細胞への抑制シグナルを減少させることで、がん細胞に不応答となっていた腫瘍抗原特異的なT細胞の再活性化作用を示す。ニボルマブはT細胞活性化作用を有していることから、過剰な免疫反応による副作用が発現することがある。

<過剰な免疫反応により起こる副作用>
間質性肺炎、重症筋無力症、心筋炎、大腸炎、小腸炎、重度の下痢、1型糖尿病、血液障害、肝機能障害、甲状腺機能障害、下垂体機能障害、神経障害、腎障害、副腎障害、脳炎、皮膚障害 など

選択肢のうち、過剰な免疫反応により、間接的に生じると思われる副作用は、低血糖である。ニボルマブを投与すると、甲状腺機能障害や下垂体機能障害、副腎障害が起こることにより血糖上昇ホルモン(甲状腺ホルモン、成長ホルモン、副腎髄質ホルモン、副腎皮質ホルモン)が分泌されにくくなり、低血糖を起こすと考えられる。

◆ 問259

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


ニボルマブの作用を増強させる目的で、ニボルマブと併用される薬としてイピリムマブがある。イピリムマブは、モノクローナル抗体であり、活性化T細胞表面に発現するCTLA−4に作用し、CTLA−4と抗原提示細胞に存在するCD80/CD86との結合を阻害することによりT細胞への抑制シグナルを減少させることで、腫瘍抗原特異的なT細胞の増殖、活性化作用を示す。また、制御性T細胞(Treg)の機能低下及び腫瘍組織におけるTreg数の減少により腫瘍免疫反応を亢進させ、抗腫瘍効果を示すと考えられる。