第104回薬剤師国家試験

◆問300-301

50歳男性。身長175 cm、体重80 kg、血清クレアチニン1.5 mg/dL。眼内炎、遷延する発熱、中心静脈カテーテル刺入部位の発赤及び圧痛があり、中心静脈カテーテル刺入部関連感染の疑いと診断された。細菌感染に対する抗菌療法に反応せず、カテーテル刺入部の膿、末梢血培養で真菌陽性、血液検査でβ−D−グルカン陽性のため、カテーテルを抜去し、ホスフルコナゾールによる治療を開始したが、治療反応性が悪かった。その後、刺入部位膿と血液の培養の結果、Candida krusei(カンジダ属真菌)が検出された。

◆ 問300

この患者の真菌感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 表在性真菌感染症である。
  • ST(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)合剤が有効である。
  • 日和見感染症と考えられる。
  • 鳥類の糞便中で増殖したものが、感染源となった可能性が高い。
  • 侵襲性カンジダ症の1つである。

◆ 問301


◆ 問300

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


1 誤
本症例では、中心静脈カテーテル留置により深在性真菌感染症であるカンジダ血症を発症していると考えられる。なお、表在性真菌感染症は、爪、表皮、粘膜などに真菌が感染することで発症する感染症である。

2 誤
ST合剤は、細菌感染症やニューモシスチス肺炎などに用いられるが、真菌感染症には用いられない。

3 正
カンジダ症は、一般に易感染状態の患者が口腔内、消化管などに存在するカンジダ・アルビカンスなどの日和見感染により発症する。

4 誤
解説3参照

5 正
深在性真菌感染症は、侵襲性カンジダ症の一種である。

◆ 問301

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


1 誤
本剤を調製する際には、溶解液を加えて振とうし、沈殿物が認められた場合には、完全に溶解するまでさらに振とうすることとされている。

2 誤
本剤に添付されているフィルターは、1回限りの使用のみで再使用・再滅菌できない。

3 誤
1〜2時間かけて点滴静注する。

4 正
本剤投与による投与時関連反応(発熱、悪寒、悪心、嘔吐、頭痛、背部痛、骨痛など)の発現の有無を確認するため、投与中あるいは投与後に発熱、悪寒、悪心等が発現しないかを観察する。なお、投与時関連反応の予防あるいは治療法として、投与速度を遅らせるか、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェンおよびヒドロコルチゾンの投与が有効であるとの報告がある。

5 正
本剤投与により腎障害が現れることがあるため、定期的に腎機能、血清電解質の検査を行うなど観察を十分に行うこととされている。