第105回薬剤師国家試験

◆問322-323

 62歳男性。妻と死別し独居である。認知症があり、介護保険制度による要支援2のサービスを受けている。前回の処方からドネペジル塩酸塩が5mgから10mgに増量になった。薬剤師が医師の指示により患者宅を訪問したところ、患者から最近尿が出にくく、吐き気があると訴えがあった。また、 3日前から風邪気味のため、市販薬であるA顆粒を服用していることがわかった。
105回問322-323画像1

◆ 問322

 この薬剤師の薬学的介入に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • ドネペジル塩酸塩の増量により、吐き気が発現している可能性があるので、処方医と対応を検討する。
  • プロメタジンメチレンジサリチル酸塩の抗コリン作用による排尿障害が疑われるので、この患者にA顆粒の服用を中止するよう指導する。
  • アセトアミノフェンはドネペジル塩酸塩との併用禁忌薬なので、この患者にA顆粒の服用を中止するよう指導する。
  • ドネペジル塩酸塩の作用が増強されるおそれがあるので、A顆粒服用中は、ドネペジル塩酸塩を5 mg に戻すよう処方医に提案する。
  • 無水カフェインによる排尿障害が疑われるので、この患者にA顆粒の服用を中止するよう指導する。

◆ 問323


◆ 問322

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、2


 A顆粒に含まれるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩は抗コリン作用を有するため、排尿障害を起こすことがある。また、ドネペジルは副作用として消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢など)を誘発することがある。これらのことから、本症例で現れた排尿障害は、A顆粒に含まれるプロメタジンメチレンサリチル酸塩の抗コリン作用によるものであり、また、吐き気はドネペジル増量によるものであると考えられる。

◆ 問323

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


1 正
 介護保険制度の被保険者には、以下の者がいる。
・第1号被保険者:市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者
・第2号被保険者:市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者

2 誤
 この患者は、要支援2のサービスを受けていることから、要支援状態2であると推察される。要支援認定を受けた者は予防給付を受けることができるが、介護給付を受けることはできない。
居宅療養管理指導料は介護給付に該当するため、要支援認定を受けた者に対して、居宅療養管理指導料を算定することはできない。なお、予防給付では、介護予防居宅療養管理指導料を算定することができる。

3 誤
 患者が要介護認定又は要支援認定を受けている場合には、介護保険が優先されるため、医療保険における在宅患者薬剤管理指導料を算定できない。

4 誤
 解説2参照

5 正