第106回薬剤師国家試験

◆問234-235

34歳男性。仕事中に不凍液を誤飲した。数時間後、下腹部痛、下痢、嘔気、嘔吐を伴い、救急外来を受診したところ、徐々に意識レベルが低下してきた。 血中エチレングリコール濃度を測定したところ50mg/dLであり、血液検査と血液ガス分析結果は以下のとおりであった。
106回問234-235画像1

◆ 問234

この患者の治療を行うにあたり、誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • ホメピゾール点滴静注液を投与する。
  • 血液浄化療法を開始する。
  • 炭酸水素ナトリウム注射液を投与する。
  • 球形吸着炭細粒(活性炭)を投与する。
  • 酢酸リンゲル液を投与する。

◆ 問235


◆ 問234

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


1 正しい
ホメピゾールは、エチレングリコールの代謝に関わるアルコール脱水素酵素を阻害することで、エチレングリコールの代謝物(グリコール酸やシュウ酸など)の生成を抑制する。

2 正しい
血液中のエチレングリコールやエチレングリコールの代謝物を取り除くのに血液浄化療法が有効である。

3 正しい
血液ガス分析の結果より、本患者は代謝性アシドーシスであると考えられる。炭酸水素ナトリウム注射液、酢酸リンゲル液は、代謝性アシドーシスの補正に有効である。

4 誤っている
エチレングリコールは、球形吸着炭(活性炭)にほとんど吸着しない。

5 正しい
解説3参照

◆ 問235

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


1 正
エチレングリコールは、肝臓でアルコール脱水素酵素によりグリコアルデヒドとなり、その後、アルデヒド脱水素酵素によりグリコール酸やシュウ酸となる。

2 誤
エチレングリコールは、主として肝臓でアルコール脱水素酵素及びアルデヒド脱水素酵素により代謝される。

3 誤
エチレングリコールの代謝により生成するシュウ酸は、カルシウムと結合して不溶性となり、尿細管に沈着して腎臓を障害する。なお、エチレングリコールより生じるグリコール酸は、細胞内呼吸を抑制する。

4 正
問234解説3参照

5 誤
問234 解説1参照