第106回薬剤師国家試験
◆問286-287
67歳男性。身長167 cm、体重73 kg。近医で心臓弁膜症を指摘され、病院で心エコーの検査予定であった。真夏の午前中に庭の草むしりをしていたところ、 突然めまいと嘔吐が出現し、その場に倒れた。一緒に作業をしていた妻が救急車を要請し、救命救急センターに搬送された。問診・検査の結果、脳梗塞と診断された。倒れてからの時間経過は以下のとおりである。8:50 草むしり中に転倒
10:00 救命救急センターに到着
10:25 緊急 MRI の実施
10:50 脳梗塞と診断
◆ 問286
◆ 問287
この患者に前問の治療薬を選択する際に、確認が必要なのはどれか。2つ選べ。-
頭蓋内出血の有無
-
動脈血液ガス分析の結果
-
好中球数
-
eGFR
-
脳梗塞の発症時刻
◆ 問286
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:2
本症例では、草むしり中に転倒した後、2時間後に脳梗塞と診断されていることから血栓溶解薬であるアルテプラーゼの投与が有効である。アルテプラーゼは、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)製剤であり、特異的に血栓中のプラスミノーゲンを活性化してプラスミンを産生することによりフィブリンの分解を促進する。アルテプラーゼは、発症後4.5時間以内の虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善に用いられる。
◆ 問287
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、5
アルテプラーゼを使用する際には、脳梗塞の発症時刻より発症後4.5時間以内であることを確認する。
また、頭蓋内出血の有無、脳出血を起こす可能性(血圧、血糖値、頭蓋内腫瘍、動静脈奇形、動脈瘤など)、消化管出血・尿路出血の有無、大手術後の日時、併用薬(経口抗凝固薬、ヘパリン)などを確認する。