第107回薬剤師国家試験

◆ 問334

精神神経科医師より統合失調症治療薬パリペリドンパルミチン酸エステルを処方したいので採用してほしいとの申請が医薬品情報室に提出された。本剤については、過去に安全性速報が発出されている。そこで、本剤の採用にあたり、医薬品情報担当薬剤師による対応として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
  • 直ちに精神神経科に安全性速報の内容を情報提供し、追って院内にも周知するよう努める。
  • パリペリドンパルミチン酸エステル水懸筋注が処方される患者・家族に安全性速報の内容を含めて説明する。
  • 調剤室の掲示板に目立つように安全性速報を掲示し、調剤業務に役立てる。
  • 急激な精神興奮などの治療を要する患者への使用に限るよう院内に周知する。
  • リスペリドン持効性懸濁注射液を使用中の患者リストを作成の上、医師と共有し、パリペリドンパルミチン酸エステル水懸筋注への今後の変更について検討する。

◆ 問334

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


パリペリドンパルミチン酸エステルは、統合失調症治療薬として用いられる持効性懸濁注射液である。本剤は安全性速報として、使用するにあたり次の3点について注意喚起された。
・急激な精神興奮等の治療や複数の抗精神病薬の併用を必要とするような不安定な患者には使用しないこと
・本剤及びリスペリドンの主活性代謝物はパリペリドンであるので、リスペリドン持効性懸濁注射液から本剤への切替えにあたっては、過量投与にならないよう、用法・用量に注意すること
・パリペリドンまたはリスペリドンでの治療経験がない場合は、まず、一定期間経口パリペリドン又は経口リスペリドンを投与して症状が安定していることを確認した後、これら経口剤を併用せずに本剤を開始すること

1 適切である
 医薬品を採用するにあたり、医薬品情報を収集し、院内全体に周知する必要がある。

2 適切である
 安全性速報が発出されている医薬品が処方された場合、患者、家族に対して安全性速報の内容を含めて説明する必要がある。

3 適切である

4 不適切である
 パリペリドンパルミチン酸エステルは、安全性速報において急激な精神興奮などの治療を要する患者へ使用しないよう注意喚起されている。

5 適切である
 リスペリドン持効性懸濁注射液から本剤に切り替える際、用法・用量に注意が必要であるため、リスペリドン持効性懸濁注射液を使用中の患者リストを作成した上で、医師と共有し、パリペリドンパルミチン酸エステル水懸筋注への今後の変更について検討する必要がある。