第108回薬剤師国家試験
◆問157-158
50歳男性。身長170cm、体重81kg（BMI28）。特に自覚症状は無く服薬歴もなかったが、健康診断で血圧が高いことを指摘された。家庭での血圧自己測定においても、連日140/90mmHg台と高く推移していたため受診した。診察室での血圧は146/92mmHg、心拍68拍/分（整）で、その他特記すべき異常所見は認められなかった。その後の複数回の受診時の血圧も同様に高く、Ⅰ度高血圧と診断された。飲酒は毎日缶ビール（350mL）1本程度で、喫煙歴はない。しばらく生活習慣の改善を試みたが、診察室・家庭血圧ともに降圧はほとんど認められなかったため、薬物療法を開始することになった。◆ 問157
◆ 問158
高血圧症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。-
アリスキレンは、レニンを阻害することで、アンジオテンシンⅠの産生を抑制する。
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アテノロールは、アドレナリンβ1受容体遮断により心拍出量を減少させるとともに、アドレナリンα1受容体遮断により血管収縮を抑制する。
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シルニジピンは、電位依存性Ｎ型Ca2+チャネルを遮断することで、交感神経終末からのノルアドレナリン放出を抑制する。
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リシノプリルは、キニナーゼⅡを阻害することで、ブラジキニンの生成を抑制する。
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クロニジンは、延髄の血管運動中枢のアドレナリンα2受容体を遮断することで、交感神経活動を抑制する。
◆ 問157
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：3、5
誤:[頻脈が認められる。]
心拍数の基準値は、1分あたり60〜100拍である。本患者の心拍数は、1分あたり68であることから、頻脈は認められない。
正:[肥満は認められない。]
BMI（Body Mass Index）が25以上の場合、「肥満」と判定される。本患者のBMIは28であることから、肥満である。
誤:[白衣高血圧と仮面高血圧の可能性は、いずれも否定できる。]
家庭での血圧自己測定値は、連日140/90mmHg台であり、また、診察室での血圧値は146/92mmHgであることから、家庭での血圧値と診察室での血圧値に大きな差が認められない。よって、白衣高血圧（家庭では高血圧でなくても、診察室血圧が高血圧の状態）と仮面高血圧（診察室では高血圧でなくでも、家庭では高血圧の状態）の可能性は、いずれも否定できる。
誤:[食塩摂取量は９g/日未満が理想である。]
高血圧患者における1日の食塩摂取量は、6g未満が推奨されている。
正:[降圧薬の投与にあたっては、単剤を低用量から開始する。]
I度高血圧に対して降圧薬を投与にあたっては、単剤を低用量から開始する。
◆ 問158
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：1、3
正:[アリスキレンは、レニンを阻害することで、アンジオテンシンⅠの産生を抑制する。]
アリスキレンは、直接レニン阻害薬であり、レニンを直接阻害することで、アンジオテンシンIの産生を抑制する。
誤:[アテノロールは、アドレナリンβ1受容体遮断により心拍出量を減少させるとともに、アドレナリンα1受容体遮断により血管収縮を抑制する。]
アテノロールは、β1受容体遮断薬であり、アドレナリンβ1受容体遮断により心拍出量を減少させる。
正:[シルニジピンは、電位依存性Ｎ型Ca2+チャネルを遮断することで、交感神経終末からのノルアドレナリン放出を抑制する。]
シルニジピンは、電位依存性L型Ca2＋チャネルを遮断することで、血管平滑筋を弛緩させるとともに、電位依存性N型Ca2＋チャネルを遮断することで、交感神経終末からのノルアドレナリン放出を抑制する。
誤:[リシノプリルは、キニナーゼⅡを阻害することで、ブラジキニンの生成を抑制する。]
リシノプリルは、キニナーゼIIを阻害することで、ブラジキニンの分解を抑制する。
誤:[クロニジンは、延髄の血管運動中枢のアドレナリンα2受容体を遮断することで、交感神経活動を抑制する。]
クロニジンは、延髄の血管運動中枢のアドレナリンα2受容体を刺激することで、交感神経活動を抑制する。
