第108回薬剤師国家試験
◆問232-233
22歳女性。身長160cm、体重63kg。女性は肥満と体脂肪率が高いことを気にしており、糖質制限ダイエットによる摂取エネルギー制限が肥満予防に有用であると考えていた。インターネットや書籍の情報を基に糖質制限ダイエットを始めたが、過度の糖質制限は体に良くないと友人から聞き、不安になって近所の薬局を訪れて薬剤師に相談した。◆ 問232
◆ 問233
この女性の相談をきっかけに、薬局が開催する地域住民向け健康セミナーで糖質制限のことを取り上げることになり、薬局内で勉強会を行った。糖質制限が糖質、タンパク質及び脂質の代謝に及ぼす影響に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。-
糖質制限を行うと、膵臓からインスリン分泌が亢進する。
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糖質の摂取不足により血中グルコース濃度の低下が起こると、アミノ酸、乳酸、グリセロールのいずれからもグルコースが作られる。
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糖質制限が続くと、肝臓で遊離脂肪酸のβ酸化が亢進し、大量に生成したアセチルCoAからケトン体が産生される。
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肝臓のグリコーゲンは、糖質制限状態ではエネルギー源としては利用されない。
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脳や神経系の細胞は、グルコースを細胞内に貯蔵しているため、糖質制限の影響を受けにくい。
◆ 問232
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:4
誤:[大豆イソフラボン]
誤:[キシリトール]
誤:[カゼインホスホペプチド (CPP)]
正:[茶カテキン]
誤:[ラクトトリペプチド]
肥満なので、茶カテキンです。
茶カテキンは、食事由来の脂肪とコレステロールの吸収を抑制する作用が認められている成分です。体重増加へのアプローチとして妥当と考えられます。
◆ 問233
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:2、3
誤:[糖質制限を行うと、膵臓からインスリン分泌が亢進する。]
長期的な糖質制限の結果として、インスリン抵抗性が高くなった場合においては、インスリン分泌がむしろ亢進するといってもおかしくないのですが、単に「糖質制限」とあるので、インスリン分泌は低下すると推測されます。
正:[糖質の摂取不足により血中グルコース濃度の低下が起こると、アミノ酸、乳酸、グリセロールのいずれからもグルコースが作られる。]
正:[糖質制限が続くと、肝臓で遊離脂肪酸のβ酸化が亢進し、大量に生成したアセチルCoAからケトン体が産生される。]
誤:[肝臓のグリコーゲンは、糖質制限状態ではエネルギー源としては利用されない。]
血中グルコース不足により、肝臓のグリコーゲンが利用されると考えられます。
誤:[脳や神経系の細胞は、グルコースを細胞内に貯蔵しているため、糖質制限の影響を受けにくい。]
脳などは、グルコースを貯蔵していません。そのため、糖質制限の影響を受けやすいと考えられます。