第108回薬剤師国家試験

◆問266-267

75歳男性。体重67kg。農作業中に意識を失い倒れているところを発見され救急外来へ搬送された。痙れん性てんかん重積状態と診断され、ジアゼパム注射液10mgを投与したが、痙れんが持続したため、ホスフェニトインナトリウム注射液1,500mgが追加投与された。痙れんが改善した後、ホスフェニトインナトリウム7.5mg/kg/dayで維持された。経口摂取可能となったため以下の処方に変更され、7日間服用後の患者の定常状態における平均血漿中フェニトイン濃度(ss)は10μg/mLであった。
108回問266-267画像1

◆ 問266

追加投与されたホスフェニトインナトリウム注射液について薬剤師が医療スタッフに情報提供した内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 強酸性薬剤であるため他剤と配合できません。
  • 生理食塩液で希釈して投与してください。
  • 静脈内に急速に投与してください。
  • 血管痛や壊死が生じやすいため動脈内に投与してください。
  • フェニトインの血中濃度を定期的に測定し副作用に注意してください。

◆ 問267


◆ 問266

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


誤:[強酸性薬剤であるため他剤と配合できません。]
フェニトインナトリウムが強塩基性で知られています。そのため、リン酸化しても「強酸性」にはならないのではないか、と推測し、誤りと判断するとよいと思われます。ちなみに、覚える必要ないのですが、インタビューフォームによれば、pH8.5〜9.1とのことです。

正:[生理食塩液で希釈して投与してください。]

誤:[静脈内に急速に投与してください。]
フェニトインといえば、代表的TDM対象薬です。そのため「急速投与」すると、血中濃度が急激にあがるため、避けるのではないか、と推測できるのではないでしょうか。

誤:[血管痛や壊死が生じやすいため動脈内に投与してください。]
血管痛や壊死が生じやすかったのは、フェニトインの注射薬です。ホスフェニトインはフェニトインのプロドラッグで、pHも8~9に調整され、刺激性がほとんどなく、フェニトイン注射薬の欠点が改善された製剤です。

正:[フェニトインの血中濃度を定期的に測定し副作用に注意してください。]

◆ 問267

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


ミカエリス・メンテン式v=Vmax[S]/(Km+[S])は基礎知識です。本問では、消失速度=代謝速度ということなので左辺のvにフェニトインの投与量350(mg/day)、[S]は、定常状態なのでCssの20(μg/mL)を代入します。あとは、選択肢を検討すればよいです。

選択肢1が正解と仮定します。
すなわち、Km=2.0、Vmax=330とします。以下のようになり、明らかに右辺が330よりも小さく、左辺の350と等しくはなりません。


選択肢1は誤りです。

以下、同様に代入していけば、選択肢4のKm=4.0、Vmax=420の時、以下のように等式成立します。


以上より、正:[選択肢4]です。