第108回薬剤師国家試験

◆ 問330

 76歳男性。2週間後に食道がんの全摘出手術を施行予定である。この患者は₃年前に、せん妄を発症した経験があるため、担当医は入院中のせん妄発症リスクが高いと考えている。外来受診時に、当該患者より担当医に「1週間前から、夜眠れない日が続いており、疲れがたまっています。」との訴えがあった。担当医は、せん妄発症リスクの低い睡眠薬の処方を検討している。当該患者は、これまで睡眠薬及び抗不安薬を服薬していないことを確認している。
 担当医から病棟担当薬剤師に、この件について処方薬の相談があった。薬剤師が提案すべき薬物として、適切なのはどれか。2つ選べ。
  • ラメルテオン
  • ゾルピデム酒石酸塩
  • ブロチゾラム
  • スボレキサント
  • リルマザホン塩酸塩水和物

◆ 問330

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


 せん妄とは、急激な認知機能障害や意識状態の変化を伴う状態のことであり、身体的異常や薬物の使用を原因として発症することがある。薬剤性せん妄を起こす薬物として、ベンゾジアゼピン系薬(ブロチゾラム、リルマザホン塩酸塩水和物)、非ベンゾジアゼピン系(ゾルピデム酒石酸塩)、麻薬性鎮痛薬、抗ヒスタミン薬などがある。睡眠薬として、ベンゾジアゼピン系薬(ブロチゾラム、リルマザホン塩酸塩水和物)、非ベンゾジアゼピン系(ゾルピデム酒石酸塩)はせん妄を起こしやすいが、それに対してメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)、オレキシン受容体遮断薬(スボレキサント)はせん妄を起こしにくい。