第109回薬剤師国家試験

◆問226-227

68歳女性。身長150cm、体重41kg(BMI18.2)。独居。喫煙歴無し。飲酒はしない。最近、体重の減少と体力の低下が気になっていたところ、テレビでフレイルの特集を見て、自分も該当するのではないかと心配になり、健康サポート薬局の薬剤師に相談に来た。薬剤師はこの女性に生活習慣について尋ね、以下の情報を得た。
  • 近頃、固いものが食べにくくなったので豆腐のような軟らかいものを好んで食べている。
  • 運動習慣は週に1回程度、散歩を行ってきたが、最近疲れやすくなったので外に出ない日が多くなった。
  • 年をとるとともに友人が少なくなったので、他者と交流する機会は、ほとんどない。

◆ 問226

フレイルに関する内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • フレイルは、加齢に伴う身体的、精神的な機能低下のことである。
  • フレイルは、要介護になった状態のことである。
  • フレイルは、回復することのない病態である。
  • フレイルの進行を防ぐことは、健康寿命の延伸につながる。
  • フレイルは、過栄養により防ぐことができる。

◆ 問227


◆ 問226

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、4


フレイルとは、加齢に伴う身体的、精神的な機能の低下を指し、特に高齢者に見られる状態です。フレイルは、病気ではなく、健康と病気の中間に位置する状態と考えられています。以下に、フレイルの特徴と対策について具体的に解説します。
フレイルの特徴:
身体的特徴: 筋肉量の減少、筋力の低下、疲労感、活動量の減少などがあります。これにより、日常生活における自立性が低下し、転倒や骨折のリスクが高まります。
精神的特徴: 認知機能の低下や、気力の減退、孤独感、うつ症状などが見られることがあります。
社会的特徴: 社会参加の機会が減少し、友人や家族との交流が少なくなることがあります。
フレイルの対策:
栄養: 偏った食事ではなく、バランスの良い食事を心がけ、特にタンパク質を十分に摂取することが重要です。
運動: 定期的な運動を行い、筋力を維持・向上させることが大切です。散歩やストレッチ、軽い筋トレなどが有効です。
社会参加: 地域の集まりや趣味の活動に参加することで、社会とのつながりを保ち、精神的な健康を支えます。

上記を踏まえて、それぞれの選択肢が正しい理由を解説します。

[フレイルは、加齢に伴う身体的、精神的な機能低下のことである。]
正解です。フレイルは、加齢に伴って身体的な機能が低下し、筋力や運動能力、認知機能が減退する状態を指します。この女性の体重減少や体力低下は、フレイルの典型的な症状です。

[フレイルは、要介護になった状態のことである。]
誤りです。フレイルは要介護状態ではありません。要介護は、日常生活動作を自立して行えない状態を指します。

[フレイルは、回復することのない病態である。]
誤りです。フレイルは早期に対処すれば進行を遅らせることができるため、回復の可能性があります。

[フレイルの進行を防ぐことは、健康寿命の延伸につながる。]
正解です。フレイルの予防や適切な対応は、健康寿命を延ばすために重要です。

[フレイルは、過栄養により防ぐことができる。]
誤りです。フレイルは過栄養ではなく、適切な栄養と運動が必要です。

◆ 問227

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


選択肢の解説は以下の通りです。
[タンパク質の摂取量を減らす。]
これは誤りです。フレイル予防には適切な栄養が必要であり、タンパク質は筋肉の維持に重要です。減らすのではなく、適切な量を摂取することが大切です。

[咀嚼機能と嚥下機能の低下を防ぐため、口腔体操などを行う。]
正解です。食事を摂るためには咀嚼と嚥下が必要です。口腔体操や食事の工夫を通じて、食事摂取の障害を予防しましょう。

[日常生活において、できるだけ紫外線を浴びないようにする。]
これはフレイル予防とは直接関係ありません。紫外線対策は肌の健康に影響しますが、フレイルとは異なる側面です。

[疲労を回避するために、運動は現状よりも控える。]
これは誤りです。適度な運動はフレイル予防に重要です。運動を続けることで筋力や体力を維持しましょう。

[地域の活動に参加して、適度に人との交流を行う。]
正解です。社会的な交流は精神的な健康を支え、孤立感を防ぐために重要です。