第109回薬剤師国家試験
◆問252-253
73歳女性。左前頭部が柔らかく腫張しているのを自覚し、かかりつけ医を受診した。腫瘤性病変を指摘され、精査加療目的で紹介入院となった。CT検査で頭蓋及び四肢に骨病変が認められた。骨髄検査の結果、単クローン性の形質細胞が37.0%であったことから多発性骨髄腫と診断され、以下のDLd(ダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン)療法が開始された。
◆ 問252
◆ 問253
治療開始後、血清カルシウム値が12mg/dLを超えたため、薬物を追加することとなった。追加する薬物の作用機序として、適切なのはどれか。2つ選べ。-
骨芽細胞の副甲状腺ホルモン受容体を遮断する。
-
副甲状腺細胞のカルシウム受容体を遮断する。
-
破骨細胞のファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害する。
-
骨芽細胞のRANKL(NF-KB活性化受容体リガンド)の作用を阻害する。
-
小腸上皮細胞のビタミンD受容体を活性化する。
◆ 問252
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：2、3
この薬物治療における薬剤管理について、正解は以下の2つです。
[ダラツムマブの使用にあたっては、製造販売業者が策定した適性流通管理システムへの薬剤師の登録が必要である。]
正解です。ダラツムマブは遺伝子組換えの抗体薬であり、適切な管理と流通が重要です。
[レナリドミドの使用にあたっては、製造販売業者が策定した適性管理手順に従って、調剤及び管理上の責任を担う、責任薬剤師の登録が必要である。]
正解です。レナリドミドは多発性骨髄腫の治療に用いられる薬剤であり、適切な管理が求められます。
以下の選択肢は誤りです。
[ダラツムマブを使用する前に、肝炎ウイルス感染の有無を確認する必要がある。]
誤りです。ダラツムマブの使用には肝炎ウイルス感染の確認は必要ありません。
[レナリドミドは、服用しやすいように脱カプセルする必要がある。]
誤りです。レナリドミドはカプセルのまま服用されます。
[デキサメタゾンは、帳簿への記載が必要である。]
誤りです。デキサメタゾンの帳簿への記載は必要ありません。
◆ 問253
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解：3、4
追加する薬物の作用機序について、正解は以下の2つです。
[破骨細胞のファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害する。]
正解です。多発性骨髄腫では、異常な骨破壊が起こり、カルシウムの過剰放出が問題となります。ファルネシルピロリン酸合成酵素の阻害により、骨破壊を抑制し、カルシウムの異常上昇を防ぎます。
[骨芽細胞のRANKL(NF-KB活性化受容体リガンド)の作用を阻害する。]
正解です。RANKLは骨吸収を促進する因子であり、その作用を阻害することで骨破壊を抑制します。
以下の選択肢は誤りです。
[骨芽細胞の副甲状腺ホルモン受容体を遮断する。]
誤りです。副甲状腺ホルモンはカルシウムの調節に関与しますが、この症例では適切ではありません。
[副甲状腺細胞のカルシウム受容体を遮断する。]
誤りです。副甲状腺細胞のカルシウム受容体を遮断する薬物は、この状況では適切ではありません。
[小腸上皮細胞のビタミンD受容体を活性化する。]
誤りです。ビタミンD受容体の活性化はカルシウムの吸収を促進しますが、この症例では適切ではありません。
