第109回薬剤師国家試験

◆問322-323

地域薬剤師会からある薬局に地域ケア会議への参加依頼があった。薬局に勤務する薬剤師の中で適任者を検討した結果、薬局勤務3年目の薬剤師Aが選出された。薬剤師Aは地域ケア会議に参加するのは初めてだが、在宅患者も担当しており、スキルアップのために管理薬剤師Bと共に参加してもらうことにした。

◆ 問322

薬剤師Aは地域ケア会議へ出席するにあたり、地域ケア会議の特徴や参加時の対応について管理薬剤師Bに相談した。管理薬剤師Bの助言の内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時に進めています。
  • 地域ケア会議は、薬剤師の場合、2年以上の実務経験が参加条件となっています。
  • 地域ケア会議は、医療又は福祉の資格を有することが参加条件となります。
  • 地域ケア会議において、参加者に自分の意見を伝える際、専門用語をなるべく多く用いて説明するよう心がけてください。
  • 個別ケースの課題などを積み重ね、自治体の政策形成につなげることも地域ケア会議の機能の一つです。

◆ 問323


◆ 問322

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


正解の選択肢の解説は以下の通りです。
[地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時に進めています。]
地域ケア会議は、高齢者の個別の支援内容を検討し、地域の実情に応じた課題を解決することを目的としています。これには、個別ケースの解決だけでなく、地域全体の社会基盤の整備も含まれます。

[個別ケースの課題などを積み重ね、自治体の政策形成につなげることも地域ケア会議の機能の一つです。]
地域ケア会議では、個別のケースから見えてくる地域全体の課題を議論し、それを自治体の政策形成に反映させることが目的の一つです。これにより、地域包括ケアシステムの実現に貢献します。


誤りの選択肢の解説は以下の通りです。
[地域ケア会議は、薬剤師の場合、2年以上の実務経験が参加条件となっています。]
地域ケア会議への参加に実務経験年数の制限は特に設けられていません。参加者はその専門知識を共有し、多職種連携を図ることが求められますが、実務経験年数は参加条件ではありません。

[地域ケア会議は、医療又は福祉の資格を有することが参加条件となります。]
地域ケア会議への参加は、医療や福祉の資格を持つ専門家だけでなく、地域の関係者が広く参加することが可能です。資格の有無だけが参加条件ではなく、地域ケアに貢献できる意志が重要です。

[地域ケア会議において、参加者に自分の意見を伝える際、専門用語をなるべく多く用いて説明するよう心がけてください。]
地域ケア会議では、多職種が参加するため、専門用語を過度に使用すると理解が難しくなる可能性があります。むしろ、わかりやすい言葉を使って意見を伝えることが重要です。

◆ 問323

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4、5


正解の選択肢は以下です。
[高齢者虐待について相談することができます。]
正解です。地域包括支援センターは、高齢者の権利擁護の一環として、高齢者虐待の相談に応じる役割を担っています。高齢者が虐待を受けている場合、センターのスタッフが相談に乗り、必要に応じて市町村の職員と協力して保護する措置を講じます。

[成年後見制度について相談することができます。]
正解です。地域包括支援センターは、成年後見制度に関する相談を受け付け、必要な場合はその利用促進や手続きのサポートを行います。これにより、判断能力が不十分な高齢者の財産や権利を守るための支援を提供しています。


一方で、誤りの選択肢について解説します。
[都道府県ごとに1施設の設置が義務付けられています。]
誤りです。地域包括支援センターは市区町村が設置するものであり、都道府県ごとに設置されるものではありません。

[常駐している医師に健康に関して相談することができます。]
誤りです。地域包括支援センターには医師が常駐しているわけではなく、主に保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員がチームを組んで業務を行っています。医師による健康相談は主な業務ではありません。

[当該センターの職員が自宅を訪問し介護サービスを行います。]
誤りです。地域包括支援センターの職員が直接介護サービスを提供するわけではなく、介護サービスの相談やケアプランの作成支援などを行うことが主な業務です。介護サービス自体は他の事業者が提供します。