第111回薬剤師国家試験
◆ 問174
下表は、ある薬物 400 mg を患者に急速静脈内投与し、その4時間後に定速静脈内投与を開始したときの血漿中薬物濃度を示す。このときの定速静脈内投与速度(mg/h)として最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、本薬物の体内動態は、線形 1-コンパートメントモデルに従い、ln 2 = 0.693 とする。

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15
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20
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25
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30
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35
◆ 問174
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:5
この問題の核心は、まず単回投与のデータから「消失速度定数(k)」や「クリアランス(CL)」といった薬物固有のパラメータを求め、次に定常状態の式(R0 = Css × CL)に当てはめて点滴速度を算出することにあります。
順を追って計算を進めていきましょう。
ステップ1:消失速度定数 k を求めます
投与1時間後と2時間後の血中濃度から、消失の傾きを算出します。
k = ln(C1 / C2) / Δt k = ln(14.2 / 10.0) / 1 = ln(1.42) ≈ 0.351 h-1 (このとき、半減期 t1/2 は 0.693 / 0.351 ≈ 2.0時間となります。)
投与1時間後と2時間後の血中濃度から、消失の傾きを算出します。
k = ln(C1 / C2) / Δt k = ln(14.2 / 10.0) / 1 = ln(1.42) ≈ 0.351 h-1 (このとき、半減期 t1/2 は 0.693 / 0.351 ≈ 2.0時間となります。)
ステップ2:初期濃度 C0 と分布容積 Vd を求めます
1時間後の濃度 14.2 μg/mL から、投与直後の濃度を逆算します。
C(1h) = C0 × e-0.351 × 1 14.2 = C0 × 0.704 → C0 ≈ 20.2 μg/mL
得られた C0 から分布容積を算出します(投与量 400 mg = 400,000 μg)。
Vd = D / C0 = 400,000 / 20.2 ≈ 19,800 mL = 19.8 L
1時間後の濃度 14.2 μg/mL から、投与直後の濃度を逆算します。
C(1h) = C0 × e-0.351 × 1 14.2 = C0 × 0.704 → C0 ≈ 20.2 μg/mL
得られた C0 から分布容積を算出します(投与量 400 mg = 400,000 μg)。
Vd = D / C0 = 400,000 / 20.2 ≈ 19,800 mL = 19.8 L
ステップ3:全身クリアランス CL を求めます
CL = k × Vd = 0.351 × 19.8 ≈ 6.95 L/h
ステップ4:定常状態濃度 Css をグラフから読み取り、投与速度 R0 を計算しますCL = k × Vd = 0.351 × 19.8 ≈ 6.95 L/h
グラフより、点滴開始後の t=6h と t=10h で濃度が一定(5.0 μg/mL)になっているため、これが Css = 5.0 μg/mL であることがわかります。
最後に、定常状態での投与速度を求めます。
R0 = Css × CL R0 = 5.0 μg/mL × 6,950 mL/h = 34,750 μg/h ≈ 35 mg/h
正解:5 (35 mg/h)
【計算の「型」を身につけましょう】
薬物動態の計算問題には決まった「型」があります。
1. 急速静脈内投与のデータから k, C0, Vd を出す。
2. k と Vd から CL を出す。
3. 定速静脈内投与の式 R0 = Css × CL に代入する。
この流れを理解していれば、数値が変わっても確実に得点できる問題です。
