第111回薬剤師国家試験

◆ 問186

重大な副作用とその原因となる代表的薬物との組合せとして、正しいのはどれか。2つ選べ。
111回問186画像1

◆ 問186

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


この問題の核心は、副作用と薬剤の関係性が「原因」として正しいものを選ぶことにあります。特に、副作用を治療するための薬や、予防するための薬が選択肢に混ざっているため、それぞれの薬剤の臨床的な役割を正確に整理しておく必要があります。

「無顆粒球症 ―― チアマゾール」は、正しい組み合わせです。
チアマゾール(MMI)はバセドウ病の治療薬ですが、重大な副作用として無顆粒球症(好中球の著明な減少)が知られています。頻度は0.1〜0.5%と低いものの、発症すると感染症に対して無防備になり、命に関わります。投与開始後2〜3ヶ月以内に起こりやすいため、「突然の発熱や喉の痛み」が出た場合はすぐに服用を中止して受診するよう、薬剤師による患者指導が極めて重要です。

「皮膚粘膜眼症候群 ―― 人免疫グロブリン」は、誤りです。
皮膚粘膜眼症候群(SJS)を引き起こす代表的な薬剤は、カルバメゼピン、ラモトリギン、アロプリノール、ST合剤などです。人免疫グロブリン製剤は、むしろSJSや中毒性表皮壊死症(TEN)の治療に用いられることがあります。この製剤自体の重大な副作用としては、アナフィラキシーなどが挙げられます。

「間質性肺炎 ―― メチルプレドニゾロン」は、誤りです。
メチルプレドニゾロンは、間質性肺炎が悪化した際に行われる「ステロイドパルス療法」などの治療に用いられる薬剤です。間質性肺炎の原因となる代表的な薬物は、ブレオマイシン、アミオダロン、メトトレキサート(MTX)、ゲフィチニブなどが有名です。原因薬と治療薬を混同しないようにしましょう。

「出血性膀胱炎 ―― メスナ」は、誤りです。
メスナは、シクロホスファミドやイフォスファミドによる出血性膀胱炎を予防するための薬剤です。これらの抗がん剤の代謝産物である「アクロレイン」を尿中で中和し、膀胱粘膜へのダメージを防ぐ役割を持ちます。したがって、メスナが出血性膀胱炎の原因になるわけではありません。

「顎骨壊死 ―― ミノドロン酸水和物」は、正しい組み合わせです。
ミノドロン酸などのビスホスホネート系製剤(BP製剤)や、デノスマブを使用している患者さんにおいて、抜歯などの歯科処置をきっかけに顎の骨が露出・壊死する「薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)」が報告されています。骨への強固な蓄積と骨代謝の抑制が関与していると考えられており、服用前や服用中に歯科医師と連携し、口腔内を清潔に保つことが推奨されています。

【試験対策のポイント:副作用の役割を整理】
試験では「原因薬」を問う問題で、よく「治療薬」や「予防薬」を引っかけとして出してきます。
  • チアマゾール: 原因(無顆粒球症)
  • メチルプレドニゾロン: 治療(間質性肺炎パルス療法)
  • メスナ: 予防(出血性膀胱炎のアクロレイン中和)
このように、その薬が「火(副作用)をつける側」なのか「火を消す側」なのかを意識して学習しましょう。