第111回薬剤師国家試験
◆ 問188
35 歳女性。妊娠 23 週で高血圧(180/110 mmHg)を認め、メチルドパを投与されたが十分な降圧は得られなかった。追加する薬物として適切なのはどれか。1つ選べ。
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ニフェジピン
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ジルチアゼム塩酸塩
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エナラプリルマレイン酸塩
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テルミサルタン
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レナリドミド
◆ 問188
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1
この問題の核心は、胎児への悪影響を避けるために、妊婦に使用できる降圧薬が極めて限定されているという事実を理解しているかにあります。特に「ACE阻害薬やARBがなぜ禁忌なのか」という理由まで含めて整理しておくことが大切です。
「ニフェジピン」は、正しい選択です。
ニフェジピンはカルシウムチャネル遮断薬(Ca拮抗薬)であり、妊娠中に使用可能な代表的な降圧薬の一つです。特に緊急を要する場合や、他の薬剤でコントロールが不十分な場合などに広く用いられます。他に使用可能な薬剤としては、メチルドパ、ヒドララジン、ラベタロールなどが挙げられます。
(選択肢2は降圧薬として不適切な、あるいは一般的に用いられない選択肢です。)
「エナラプリルマレイン酸塩」は、誤り(禁忌)です。
エナラプリルはACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬です。妊娠中に服用すると、胎児の腎血流が低下し、腎不全、羊水過少症、さらには頭蓋形成不全や新生児低血圧を引き起こす恐れがあるため、全期間を通じて禁忌とされています。
「テルミサルタン」は、誤り(禁忌)です。
テルミサルタンはARB(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)です。ACE阻害薬と同様に、レニン・アンギオテンシン系を抑制することで胎児に重大な腎障害や催奇形性を引き起こすリスクがあるため、妊婦には絶対に使用してはいけません。
「レナリドミド」は、誤り(絶対禁忌)です。
レナリドミドは多発性骨髄腫などの治療に用いられる免疫調節薬ですが、サリドマイド誘導体であり、極めて強力な催奇形性を持っています。そのため、「RevMate」という厳格な適正管理手順に基づき、妊娠回避が徹底されています。降圧薬ではありません。
【試験対策のポイント:妊婦への降圧薬の覚え方】
- 使用可能: ニフェジピン、メチルドパ、ヒドララジン、ラベタロール(「ニメヒラ」などと語呂合わせで覚えるのが一般的です)
- 絶対禁忌: ACE阻害薬(エナラプリル等)とARB(テルミサルタン等)。「ACEとARBはAかちゃん(赤ちゃん)に危険!」と覚えましょう。
【実務上の教訓:2026年の事故事例より】
2026年2月の報道によると、妊婦に誤ってARB(アジルサルタン)が処方され、約3週間服用を継続した結果、出生した新生児に一時的な腎機能障害が発生した事例が公表されました。薬剤師による窓口での「妊娠の可能性の確認」は、単なる形式的な質問ではなく、赤ちゃんの命と健康を守るための最後の砦です。
2026年2月の報道によると、妊婦に誤ってARB(アジルサルタン)が処方され、約3週間服用を継続した結果、出生した新生児に一時的な腎機能障害が発生した事例が公表されました。薬剤師による窓口での「妊娠の可能性の確認」は、単なる形式的な質問ではなく、赤ちゃんの命と健康を守るための最後の砦です。
