第111回薬剤師国家試験
◆ 問189
シェーグレン症候群に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。-
抗 SS-A 抗体が陽性になることが多い。
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障害は涙腺と唾液腺に現れ、その他の臓器ではみられない。
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中年男性に好発する。
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ドライマウスに対して、アトロピンが使用される。
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ドライアイに対して、人工涙液による対症療法が用いられる。
◆ 問189
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、5
この問題の核心は、シェーグレン症候群が涙腺や唾液腺などの「外分泌腺」を主な標的とする自己免疫疾患であり、それによって引き起こされる「乾燥症状(ドライアイ・ドライマウス)」への適切な対応を理解しているかにあります [1]。
正解:1
「抗SS-A抗体が陽性となる」は、正しい記述です。
抗SS-A抗体(抗Ro抗体)は、本疾患の診断において非常に陽性率が高く、主要な診断基準の一つにも含まれています [1]。なお、この抗体は胎盤を通過する性質があるため、陽性の母親から生まれた新生児に心ブロックなどの影響(新生児ループス)が出る可能性がある点も臨床的に留意すべき点です [1]。
誤り:2
「障害は涙腺と唾液腺に限局する」は、誤りです。
主な主訴は乾燥症状ですが、実際には全身の臓器に病変が及ぶ「全身性疾患」でもあります [1]。間質性肺炎や間質性腎炎、末梢神経障害、関節炎などを合併することがあり、また悪性リンパ腫の発症リスクが健常者より高いことも報告されています [1]。
誤り:3
「中年男性に好発する」は、誤りです。
本疾患は40〜60代の中年女性に圧倒的に多く見られる疾患です [1]。男女比は約1対9とされており、非常に強い女性偏向性があります [1]。
誤り:4
「ドライマウスの改善にアトロピンを用いる」は、誤りであり、禁忌に近い選択です。
アトロピンはムスカリン受容体遮断薬(抗コリン薬)であり、服用すると唾液や涙の分泌をさらに抑制してしまいます [1]。乾燥を主症状とする本疾患にアトロピンを投与することは、症状を著しく悪化させるため不適切です [1]。ドライマウスには、M3受容体を刺激して分泌を促すピロカルピンやセビメリンが使用されます [1]。
正解:5
「ドライアイの改善に人工涙液を用いる」は、正しい記述です。
不足している涙液を補充するための、最も基本的かつ対症療法的な治療法です [1]。より専門的な治療としては、角膜へのダメージを抑えるためのヒアルロン酸点眼液や、水分・ムチン分泌を促進するジクアホソルナトリウム、免疫抑制作用のあるシクロスポリン点眼液なども検討されます [1]。
【試験対策のポイント:シェーグレン症候群のまとめ】
- 患者属性: 中年女性に好発(男女比 1:9)。
- 検査: 抗SS-A抗体・抗SS-B抗体が診断の鍵。
- 症状: 涙腺・唾液腺の乾燥が中心だが、肺や腎などの全身病変も重要。
- 薬物療法: 刺激(ピロカルピン)と補充(人工涙液)が基本。抗コリン薬(アトロピン等)は厳禁。
