第111回薬剤師国家試験
◆ 問193
症状とその治療に用いられる漢方薬の組合せとして、正しいのはどれか。2つ選べ。
◆ 問193
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、5
この問題の核心は、漢方薬の適応を単なる症状名だけでなく、患者さんの「体力(証)」や「病態」と結びつけて理解しているかにあります。試験対策としては、よく似た名前の処方や、正反対の適応を持つ処方の「入れ替え」に注意することが重要です。
正解:1
「排尿困難 ―― 八味地黄丸」は、正しい組み合わせです。
八味地黄丸は、加齢に伴う「腎虚(じんきょ)」、つまり泌尿器系や生殖器系の機能低下に対する基本処方です。下半身の冷えや腰痛を伴う高齢者の排尿困難、頻尿などに用いられます。地黄(じおう)など8つの生薬が含まれており、体を温めて機能を補う作用があります。
誤り:2
「便秘 ―― 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」は、誤りです。
牛車腎気丸は、先述の八味地黄丸に牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)を加えた処方で、主な適応は「しびれ」や「むくみ(浮腫)」です。糖尿病性神経障害に伴うしびれの改善にもよく使われます。便秘の治療には、体力が充実している人向けの「大黄甘草湯」や、高齢者などで便が乾燥している人向けの「麻子仁丸(ましにんがん)」などが用いられます。
誤り:3
「感冒 ―― 六君子湯(りっくんしとう)」は、誤りです。
六君子湯は、胃腸が弱く、食欲がない「胃気虚(いききょ)」の状態に用いられる代表的な処方です。最近では機能性ディスペプシア(FD)に対する有効性も報告されています。感冒(風邪)の初期に用いられるのは、葛根湯(体力がある人向け)や麻黄湯(高熱や関節痛がある人向け)などです。
誤り:4
「機能性ディスペプシア ―― 麻黄湯(まおうとう)」は、誤りです。
麻黄湯は、非常に体力が充実している人がひいた「強い風邪」に用いる処方です。交感神経興奮作用を持つ「麻黄」が含まれているため、胃腸薬としては適しません。機能性ディスペプシアには、選択肢3にある「六君子湯」が適しています。選択肢3と4が完全に入れ替わっている点に注意してください。
正解:5
「更年期障害 ―― 加味逍遙散(かみしょうようさん)」は、正しい組み合わせです。
加味逍遙散は、比較的体力が低下しており、のぼせ、イライラ、精神不安、肩こりなどの「不定愁訴(症状が次々と変わる)」を訴える女性によく用いられます。「逍遙」には「あちこち歩き回る」という意味があり、定まらない症状に効果があることを示しています。
【試験対策のポイント:定番の入れ替えパターン】
以下の組み合わせは、試験で非常に頻繁に入れ替えて出題されます。
以下の組み合わせは、試験で非常に頻繁に入れ替えて出題されます。
- 六君子湯: 胃腸虚弱・食欲不振・機能性ディスペプシア(FD)
- 麻黄湯: 感冒の初期(高熱、汗が出ない、関節痛)
