第111回薬剤師国家試験

◆ 問195

メタアナリシスに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
  • 複数の研究で示された効果量を統計学的に統合する際は、相乗平均を用いる。
  • エビデンスレベルは症例対照研究より高い。
  • 相反する結論の資料を混在させてはならない。
  • 統合した結果は、ファンネルプロットで示される。
  • 解析を行う際は、出版バイアスに留意する。

◆ 問195

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、5


この問題の核心は、メタアナリシスが複数の独立した研究結果を統計的に統合する手法であり、そのプロセスにおける「情報のまとめ方」や「バイアスの見極め方」を正しく理解しているかにあります。特に「フォレストプロット」と「ファンネルプロット」の役割の混同に注意しましょう。

誤り:1
「効果量の統合に相乗平均を用いる」は、誤りです。
メタアナリシスでは、各研究のサンプルサイズや精度の違いを考慮し、加重平均(weighted average)を用いて結果を統合します。精度が高い(分散が小さい)研究に大きな「重み」を置いて計算するものであり、相乗平均(幾何平均)は使用されません。

正解:2
「エビデンスレベルは症例対照研究より高い」は、正しい記述です。
EBM(根拠に基づく医療)のピラミッドにおいて、複数のランダム化比較試験(RCT)を統合したメタアナリシスやシステマティックレビューは最上位に位置します。症例対照研究は、RCTやコホート研究よりも下位のエビデンスレベルとされています。

誤り:3
「相反する結論の資料を混在させてはならない」は、誤りです。
むしろ、結果がバラついている理由(異質性)を分析することがメタアナリシスの重要な役割です。I2統計量などを用いて異質性を定量化し、なぜ研究ごとに結論が異なるのかを多角的に検討します。都合の良い結果だけを集めることは「チェリーピッキング」と呼ばれ、科学的に不適切です。

誤り:4
「統合した結果はファンネルプロットで示される」は、誤りです。
個々の研究結果と、それらを統合した全体の結果を一覧として示すのはフォレストプロットです。ファンネルプロットは、次に説明する「出版バイアス」の有無を視覚的に確認するために用いられる図です。

正解:5
「解析を行う際は出版バイアスに留意する」は、正しい記述です。
「有意差が出たポジティブな結果」は論文として公表されやすく、「差が出なかったネガティブな結果」は公表されにくい(机の引き出しにしまわれる:ファイルドロワー問題)という傾向があります。これにより結果が過大評価されるリスクがあるため、解析時には必ずこのバイアスの有無を確認する必要があります。

【試験対策のポイント:2つのプロットの区別】
  • フォレストプロット(Forest Plot): 統合した「結果」を示す図。「森(Forest)」のように研究データが並んでいるイメージです。
  • ファンネルプロット(Funnel Plot): 「出版バイアス」を評価する図。左右対称の「漏斗(Funnel)」状になればバイアスが少ないと判断されます。
この2つの名称と目的の入れ替えは非常に頻出の引っかけパターンです。