第111回薬剤師国家試験
◆問218-219
63歳女性。コンタクトレンズを使用している。パソコンを使用する仕事に従事しており、昨日から目の乾きが気になり、一般用医薬品の点眼薬を求めて薬局を訪れた。来局者が以下の点眼薬の購入を希望したため、薬剤師は聞き取りと説明を行った。点眼薬の成分
精製ヒアルロン酸ナトリウム0.1%
添加物として、アミノカプロン酸、エデト酸ナトリウム水和物、クロルヘキシジングルコン酸塩液、等張化剤、pH調整剤を含有
◆ 問218
この来局者は目の乾きを気にしている。目と涙液に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。-
角膜は透明な組織で、角膜中に血管は存在しない。
-
結膜は眼球全体を覆う膜である。
-
涙腺は眼球の内下方(鼻に近い位置)に存在する。
-
涙液にはリゾチームが含まれており、抗菌性がある。
-
一般にドライアイでは、水晶体の水分量が減る。
◆ 問219
◆ 問218
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、4
この問題の核心は、目の各組織の配置や役割を正しく理解し、特に「どこが何を覆っているのか」「成分に何が含まれるのか」といった詳細な知識を整理することにあります。
正解:1
「角膜は、血管をもたない組織である」は、正しい記述です。
角膜は光を透過させるために高い透明度を維持する必要があり、そのため組織内に血管を持っていません。角膜に必要な酸素は主に涙液から、栄養は房水や角膜周縁部の血管から供給されています。
誤り:2
「結膜は、眼瞼の内面から角膜の表面を覆っている」は、誤りです。
結膜は眼瞼(まぶた)の内面から、眼球の白い部分である強膜の前方までを覆っていますが、角膜(黒目)の表面は覆っていません。角膜の表面は角膜上皮という別の組織で構成されています。
誤り:3
「涙腺は、眼窩の内下方に位置する」は、誤りです。
涙を分泌する涙腺は、眼窩の「外上方(耳側の上部)」に位置しています。鼻側に近い「内下方」は、涙が排出される涙点や涙嚢の方向であり、配置が逆になっています。
正解:4
「涙液には、抗菌作用をもつリゾチームが含まれる」は、正しい記述です。
涙液には、細菌の細胞壁を破壊する酵素であるリゾチームや、ラクトフェリンといった抗菌物質が含まれています。これらにより、常に外界にさらされている目の表面を感染から守っています。
誤り:5
「ドライアイは、加齢に伴う水晶体の水分量低下が主原因である」は、誤りです。
ドライアイは、涙液の量が減少したり、涙の質のバランスが崩れて蒸発しやすくなったりすることで、目の表面が乾燥し、傷や不快感を生じる疾患です。水晶体の水分変化は、主に老眼(調節力の低下)などに関与するものであり、ドライアイの主原因ではありません。
【試験対策のポイント:目の構造と涙のまとめ】
- 角膜: 無血管組織。透明性を保つための特徴です。
- 涙腺: 外上方に位置します。
- 結膜: 強膜(白目)は覆いますが、角膜は覆いません。
- 涙液の成分: リゾチームなどの抗菌成分を含みます。
◆ 問219
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:2、5
この問題の核心は、ドライアイ治療に用いられる「ヒアルロン酸」の物理的な性質と、点眼薬に含まれる「防腐剤(ベンザルコニウムなど)」がソフトコンタクトレンズ(SCL)に及ぼす影響を正しく理解し、患者さんに説明できるかにあります。
誤り:1
「ヒアルロン酸ナトリウムは涙の分泌を促進する」は、誤りです。
ヒアルロン酸ナトリウムは、涙の分泌そのものを増やすのではなく、自身の高い保水性によって涙液を目の表面に留め、潤滑させる(涙を「維持する」)役割を担います。涙の分泌を促進する薬剤としては、ジクアホソルナトリウム(P2Y2受容体作動薬)などが挙げられます。
正解:2
「高い保水性・粘弾性で目にうるおいを与える」は、正しい記述です。
ヒアルロン酸は非常に多くの水分を保持できる高分子化合物です。また、まばたきの際には粘度が低くなり、目を閉じているときには粘度が高くなるという優れた「粘弾性」を持つため、目の表面を効率よく保護し、潤いを与えます。
誤り:3
「クロルヘキシジンは防腐目的だが、細菌繁殖の心配はなくなる」は、誤りです。
防腐剤はあくまで点眼容器内での菌の増殖を抑えるためのものであり、細菌の繁殖を完全にゼロにできるわけではありません。点眼時に容器の先が目に触れたり、不適切な保管をしたりすれば汚染は起こり得るため、過信を招くような説明は不適切です。
誤り:4
「クロルヘキシジンによってコンタクトレンズの装用感が良くなる」は、誤りです。
クロルヘキシジンはあくまで防腐剤としての目的で配合されており、レンズの装用感を向上させる成分ではありません。
正解:5
「ベンザルコニウム塩化物を含まない製剤は、レンズを装用したまま使用できる」は、正しい記述です。
一般的な防腐剤であるベンザルコニウム塩化物(BAK)は、ソフトコンタクトレンズに吸着しやすく、蓄積すると角膜障害を引き起こす恐れがあります。そのため、BAKを含まない製剤や、レンズに吸着しにくい別の防腐剤を使用した製剤は、カラーコンタクトレンズを除き、レンズを装用したまま点眼することが可能です。
【試験対策・実務のポイント:コンタクトレンズと点眼】
- BAK(ベンザルコニウム)あり: 原則としてレンズを外して点眼し、5〜15分あけてから再装用するよう指導します。
- BAKなし(または特定の防腐剤): 「装用したままOK」と明記されている製品であれば可能です。
- 受診勧奨の判断: 数日間使用しても改善しない場合や、痛み・強い充血がある場合は、ドライアイ以外の疾患の可能性も考慮し、眼科受診を勧めます。
