第111回薬剤師国家試験

◆問230-231

50歳女性。これまでに薬の副作用、アレルギー歴なし。肩こり、ほてり、発汗、イライラを感じている。食事のバランスに気をつけているが、健康診断で骨密度が低めであることを指摘された。骨の健康が気になり、特定保健用食品を利用したいと思い、薬局を訪れた。

◆ 問230


◆ 問231

この女性に勧める特定保健用食品の関与成分として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • キトサン
  • 大豆イソフラボン
  • 茶カテキン
  • ビタミン K2
  • マルチトール

◆ 問230

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、5


この問題の核心は、健康食品の中でも「特定保健用食品(トクホ)」がどのような公的制度に基づいているか、また許可されている具体的な表示内容や販売形態について正確に理解しているかにあります。

正解:1
「特定の保健の用途に適する旨を表示できる食品である」は、正しい記述です。
特定保健用食品は、生理学的機能などに影響を与える成分を含み、血圧やコレステロールを正常に保つのを助けるなど、健康の維持増進に役立つことが科学的に証明された食品です。審査を経て、特定の保健の用途を表示することが許可されています。

誤り:2
「厚生労働省によって認められた食品である」は、誤りです。
特定保健用食品の許可権限を持っているのは厚生労働省ではなく、消費者庁です。2009年の消費者庁設置に伴い、本制度の所管は消費者庁へ移管されました。

誤り:3
「特定の疾病を治療できる食品である」は、誤りです。
特定保健用食品はあくまで「食品」であり、医薬品ではありません。たとえ特定の保健機能があったとしても、疾病の「治療」を目的とした表示や使用をすることは認められていません。

誤り:4
「薬局だけで購入できる食品である」は、誤りです。
販売場所に制限はありません。薬局やドラッグストアのほか、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、自動販売機、通信販売など、さまざまな経路で購入することが可能です。

正解:5
「骨粗鬆症のリスク低減に関する表示ができるものがある」は、正しい記述です。
特定保健用食品には「疾病リスク低減表示」という特別な枠組みがあり、科学的根拠が確立されたものに限り、将来的な疾病リスクを下げる旨を表示できます。現在は「カルシウムによる骨粗鬆症のリスク低減」と「葉酸による神経管閉鎖障害のリスク低減」の2種類について表示例が認められています。

【試験対策のポイント:トクホの重要事項】
  • 許可者: 消費者庁長官(個別に審査が行われる)。
  • 疾病リスク低減表示: カルシウム(骨粗鬆症)と葉酸(神経管閉鎖障害)のみ。
  • マーク: 人が両手を広げて「健」の文字を形作ったおなじみのマークが表示されます。

◆ 問231

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:2、4


この問題の核心は、骨密度が低下し始めている患者さん(50歳女性)に対し、骨代謝を助ける働きがある特定の食品成分を、数あるトクホ成分の中から正確に見分けることにあります。

誤り:1(キトサン)
キトサンは、主にコレステロールの吸収を抑え、血中のコレステロール値を改善する用途でトクホに配合される成分です。骨の健康維持を目的としたものではありません。

正解:2(大豆イソフラボン)
大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと構造が似ており、エストロゲン様作用を持っています。これにより、骨からカルシウムが溶け出す「骨吸収」を抑制する働きがあり、骨の健康維持に役立つ成分として認められています。

誤り:3(茶カテキン)
茶カテキンは、脂肪の燃焼を助け、体脂肪が気になる方に適した表示がなされる成分です。骨密度への直接的な影響は期待されていません。

正解:4(ビタミンK2
ビタミンK2(メナキノン-7)は、骨の形成を促すタンパク質である「オステオカルシン」を活性化させる重要な役割を担っています。実際に、納豆などの食品で「骨たんぱく質の働きを高める」という表示でのトクホ認可実績があります。

誤り:5(マルチトール)
マルチトールは、虫歯の原因になりにくい甘味料として、歯の健康維持に関連するトクホ製品に使用されます。骨密度に関連する成分ではありません。

【試験対策のポイント:骨に関連するトクホ成分】
「骨の健康」に関連するトクホ成分として、代表的なものは以下の通りです。
  • カルシウム: 骨の材料そのものであり、疾病リスク低減表示(骨粗鬆症)も認められています。
  • 大豆イソフラボン: 骨吸収を抑制する作用があります。
  • ビタミンK2 オステオカルシンの活性化を助け、骨形成を促します。
  • MBP(乳塩基性タンパク質): 骨芽細胞を活性化し、骨へのカルシウム定着を助けます。