第111回薬剤師国家試験
◆問310-311
ある薬局で、薬局製造販売医薬品として薬局製剤指針(平成28年3月28日 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課)に記載されている葛根湯を製造し、販売することになった。葛根湯の製造方法等は以下のとおりである。
◆ 問310
◆ 問311
この薬局製剤の用法及び用量について、A及びBに入る語句の組合せのうち適切なのはどれか。1つ選べ。
◆ 問310
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、5
この問題は、薬局が自ら製造し、販売する「薬局製造販売医薬品(薬局製剤)」を取り扱う際に必要となる許可や、法的な位置付けを正しく理解しているかを問う内容です。
【薬局製剤(薬局製造販売医薬品)とは】
薬局開設者が、当該薬局において製造し、当該薬局において直接消費者に販売・授与する医薬品のことです。葛根湯などの漢方薬や、シンプルな外用薬などがこれに該当します。
正解:1、5薬局開設者が、当該薬局において製造し、当該薬局において直接消費者に販売・授与する医薬品のことです。葛根湯などの漢方薬や、シンプルな外用薬などがこれに該当します。
1:製造するにあたり、医薬品の製造業の許可を受ける必要がある
薬局製剤を製造・販売するためには、通常の「薬局開設許可」に加えて、医薬品医療機器等法(薬機法)第13条に基づく「薬局製造販売医薬品製造業許可」および「薬局製造販売医薬品製造販売業許可」の2つを受ける必要があります。これらは、一般の医薬品製造業とは別枠の許可として規定されています。
5:製造物責任法(PL法)における製造物に該当する
薬局製剤は、薬局という施設で「製造」され「販売」された「物」です。そのため、万が一その製品に欠陥があり、使用者に被害が出た場合には、製造物責任法(PL法)の適用対象となります。
誤り:2、3、4
- 2:調剤室以外の場所に貯蔵することはできない
薬局製剤は、適切な管理がなされていれば調剤室以外の場所(例えば店舗内の鍵のかかる保管庫など)でも貯蔵することが可能です。必ずしも調剤室内に限定されるものではありません。 - 3:販売するにあたり、医薬品の販売業の許可を受ける必要がある
薬局における薬局製剤の販売は、すでに受けている「薬局開設許可」の範囲内で行うことができる業務です。別途、卸売販売業や店舗販売業などの「販売業」の許可を取り直す必要はありません。 - 4:第3類医薬品として販売する
薬局製剤は、一般用医薬品(第1類〜第3類)のリスク区分とは別個のカテゴリーである「薬局製造販売医薬品」として扱われます。したがって、リスク区分の表示は不要ですが、代わりに「薬局製造販売医薬品」という独自の区分表記が必要となります。
【実務のポイント:薬局製剤に必要な3つの許可】
薬局で製剤業務を行うには、以下の「3点セット」の許可が必要です。
薬局で製剤業務を行うには、以下の「3点セット」の許可が必要です。
- 薬局開設許可: 薬局として運営するための基本となる許可です。
- 薬局製造販売医薬品製造販売業許可: 製造したものを「市場(患者さん)」に出すための責任を持つ許可です。
- 薬局製造販売医薬品製造業許可: 実際に薬を作る(設備や環境を整える)ための許可です。
◆ 問311
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:4
この問題は、薬局製剤として製造・販売される葛根湯について、添付文書に基づいた小児への適切な服用量(成人量からの換算)および漢方薬特有の服用時期を正しく理解しているかを問う実務的な内容です。
【症例と処方の確認】
・対象: 8歳の男児。
・製品: 薬局製剤の葛根湯。
・ポイント: 小児(この場合は7歳以上15歳未満)における標準的な服用量と、「食間」という用語の正確な意味が鍵となります。
正解:3・対象: 8歳の男児。
・製品: 薬局製剤の葛根湯。
・ポイント: 小児(この場合は7歳以上15歳未満)における標準的な服用量と、「食間」という用語の正確な意味が鍵となります。
3:半量・食間
薬局製剤の葛根湯の添付文書において、7歳以上15歳未満の小児の服用量は「成人の2分の1(半量)」と規定されています。また、漢方薬は空腹時に服用することで吸収が良くなるため、食事と食事の間である「食間」に服用するのが基本です。
誤り:1、2、4、5
- 1:半量・食直前
服用量は正しいですが、「食直前(食事のすぐ前)」は適切な服用時期ではありません。 - 2:半量・食直後
服用量は正しいですが、「食直後(食事のすぐ後)」に服用すると、食事の内容が漢方薬の成分の吸収に影響を与えてしまう可能性があるため不適切です。 - 4:20分の1・食直前
「20分の1」という量は、乳幼児(1歳未満)などの非常に少ない用量を想定した数値であり、8歳の小児には少なすぎます。また用法も誤りです。 - 5:20分の1・食直後
量、用法ともに誤りです。
【実務のポイント:「食間」の定義を正しく指導する】
患者さんや保護者の方から非常に多く受ける質問が「食間とはいつのことか」というものです。
患者さんや保護者の方から非常に多く受ける質問が「食間とはいつのことか」というものです。
- 「食事の最中」ではありません: 漢字のイメージから、食事中に飲むと勘違いされる方が多いですが、正しくは「食後2時間以上経過した、胃の中が空の状態」を指します。
- なぜ空腹時か: 漢方薬の有効成分は、胃の中が空の状態の方が腸へスムーズに届き、腸内細菌の働きによって効率よく吸収されるためです。
