第111回薬剤師国家試験

◆ 問327

注射剤調剤として適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 抗がん剤を調製する場合は、陰圧操作で行う。
  • 使用期限が長い方の注射剤を優先的に払い出す。
  • 箱を開封したばかりの輸液製剤であっても、液漏れがないことを確認する。
  • 輸液製剤のゴム栓のシールがはがれている場合、目視でゴム栓に異常がなけれ ば、そのまま調剤する。
  • 閉鎖式薬物移送システム(CSTD)は、無菌性を向上させる目的で使用する。

◆ 問327

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:1、3


この問題は、病院や薬局での注射薬調製において、作業者の安全を守るための設備や、製剤の品質を維持するための管理・点検の基本ルールを正しく理解しているかを問う内容です。

【注射薬調製の基本原則】
安全性の確保: 調製する薬剤師が薬剤に曝露(接触・吸入)しないような対策をとります。
品質の担保: 無菌性を維持し、製剤の破損や期限切れを徹底的にチェックします。
正解:1、3
1:抗がん薬調製は陰圧操作(安全キャビネット内)で行う
抗がん薬は毒性が強いため、作業者が薬剤を吸い込んだり浴びたりしないよう、空気の流れを外から内へ引き込む「陰圧」の状態に保たれた安全キャビネット(バイオハザードキャビネット)内で調製します。これにより、環境汚染と作業者の安全を確保します。

3:開封したばかりの輸液製剤でも液漏れがないことを確認する
たとえ新品の製剤であっても、製造工程の不備や配送時の衝撃によって目に見えない微細な破損が生じている可能性があります。液漏れは汚染の直接的な原因となるため、使用直前の外観確認は不可欠な手順です。

誤り:2、4、5
  • 2:使用期限が長い方の注射剤を優先的に払い出す
    医薬品管理の基本は「先入れ先出し(FIFO)」です。使用期限が近い(短い)ものから順番に使用することで、期限切れによる廃棄や誤使用を防ぐ必要があります。
  • 4:シールがはがれているゴム栓でも目視で異常がなければ調剤する
    ゴム栓を保護するフリップオフキャップやシールが剥がれている場合、その部分の無菌性が担保されているとは言えません。目視で異常がなくても汚染の疑いがあるため、調剤に使用せず報告すべきです。
  • 5:CSTD(閉鎖式薬物移送システム)は無菌性向上のために使用する
    CSTDの本来の、そして最大の目的は「抗がん薬の曝露防止」です。薬剤が飛散したり漏れたりするのを防ぎ、作業者の安全を守るためのシステムであり、無菌性の向上を主目的とするものではありません。
【実務のポイント:安全キャビネットとクリーンベンチの違い】
混同しやすい2つの設備の目的を整理しておきましょう。
  • 安全キャビネット(陰圧): 「作業者」と「環境」を守ることが主目的です。抗がん薬など、人体に有害な薬剤を扱う際に使用します。
  • クリーンベンチ(陽圧): 風を内から外へ吹き出し、「製品(薬剤)」の無菌性を守ることが主目的です。人体に無害な通常の輸液の混注などに使用されます。