第111回薬剤師国家試験

◆ 問332

55 歳男性。最近、物が二重に見えたり、頭痛やめまい症状が現れたりしたため、大学病院を受診し、造影 CT 検査を受けるために入院となった。医師は造影剤としてイオパミドール注射液を使用予定である。本剤の使用にあたり、入院支援センターの薬剤師が収集する情報として重要性が高いのはどれか。2つ選べ。
  • 亜鉛サプリメントの使用
  • 閉所に対する恐怖
  • 気管支ぜん息の既往
  • 脂質異常症治療薬の使用
  • 腎機能

◆ 問332

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


この問題は、ヨード造影剤を使用したCT検査を行うにあたり、副作用の発現リスクを最小限に抑えるために、事前に確認すべき患者背景や検査値を正しく判断できるかを問う内容です。

【ヨード造影剤のリスク管理】
造影剤を使用する際は、主に「アレルギー反応(過敏症)」と「腎機能への影響(造影剤腎症)」の2点について、事前のスクリーニングが極めて重要となります。
正解:3、5
3:気管支ぜん息の既往
アレルギー体質の方、特に気管支ぜん息の既往がある患者さんは、ヨード造影剤による重篤な過敏反応(アナフィラキシーなど)を起こすリスクが、既往のない方に比べて高いことが知られています。安全に検査を行うため、必ず事前に確認しなければならない事項です。

5:腎機能(eGFR)
ヨード造影剤は腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している患者さんでは「造影剤腎症(CI-AKI)」を引き起こす恐れがあります。一般的に eGFR < 30 の場合は原則禁忌、あるいは慎重な投与判断と十分な補液などの対策が求められるため、直近の血液検査結果の確認は必須です。

誤り:1、2、4
  • 1:亜鉛サプリメントの使用
    亜鉛の摂取状況と、ヨード造影剤の代謝や副作用リスクとの間に直接的な関連はありません。検査前の必須確認事項には該当しません。
  • 2:閉所に対する恐怖(閉所恐怖症)
    閉所恐怖症はMRI検査(狭い筒状の装置で時間がかかる)では大きな問題となりますが、CT検査は装置がドーナツ状で開口部が広く、撮影時間も短いため、造影剤の使用リスク評価としての優先度は低くなります。
  • 4:脂質異常症治療薬の使用
    スタチン系薬剤などの脂質異常症治療薬と、ヨード造影剤との間に注意すべき相互作用や、副作用を増強させる報告はありません。
【実務のポイント:造影剤使用前の薬剤確認】
腎機能の確認に加え、以下の薬剤を服用している場合も注意が必要です。
  • ビグアナイド系糖尿病薬(メトホルミンなど): 造影剤による腎機能低下が起こると、メトホルミンが体内に蓄積し「乳酸アシドーシス」を引き起こす危険があります。そのため、検査前後 48時間 の休薬が原則となっています。
  • ヨード過敏症の既往: 過去に造影剤で気分が悪くなった、発疹が出たなどのエピソードがないか、患者さん自身への聞き取りを徹底しましょう。