第111回薬剤師国家試験

◆ 問336

63歳男性。数日前から感冒症状を自覚していたが、前日から咳、痰及び鼻汁がひどくなった。男性は近隣のクリニックを受診し、以下の処方1及び2が記載された処方箋を持って薬局を訪れた。

(処方1)
PL配合顆粒(注) 1回1包(1日4包)
デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg
      1回1錠(1日4錠)
      1日4回 朝昼夕食後、就寝前 5日分

注:1包(1g)中:
 サリチルアミド270mg、アセトアミノフェン150mg、
 無水カフェイン60mg、
 プロメタジンメチレンジサリチル酸塩13.5mgを含む

(処方2)
アンブロキソール塩酸塩錠15mg 1回1錠(1日3錠)
                1日3回 朝昼夕食後 5日分

 薬剤師が男性の薬歴を確認したところ、6ケ月前から総合病院で以下の薬剤が処方されていることが確認できた。

(総合病院からの処方)
ナフトピジル口腔内崩壊錠50mg 1回1錠(1日1錠)
                1日1回 朝食後 14日分

 薬剤師は、今回の処方中にこの患者に対して禁忌となる成分が含まれている可能性に気づき、クリニックの医師に疑義照会することにした。その成分はどれか。1つ選べ。
  • サリチルアミド
  • アセトアミノフェン
  • プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩
  • アンブロキソール塩酸塩 ⎫ | | | | | | ⎭ ⎧ | | | | | | ⎩

◆ 問336

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


この問題のポイントは、処方箋に記載された薬剤だけでなく、お薬手帳などの「薬歴」から患者様の背景疾患を正しく推測することにあります。患者様が服用しているナフトピジルはα1遮断薬であり、ここから「前立腺肥大症」の治療中であることを読み取らなければなりません。

正解:3(プロメタジンメチレンジサリチル酸塩)
PL配合顆粒に含まれる成分の中で、前立腺肥大症などの下部尿路閉塞性疾患がある患者様に禁忌なのは、第1世代抗ヒスタミン薬であるプロメタジンです。プロメタジンには強力な抗コリン作用があり、膀胱の収縮を抑制し、尿道括約筋を緊張させるため、排尿困難や尿閉を悪化させるリスクがあります。ナフトピジルで前立腺肥大症を治療している患者様に対して、この成分を含むPL配合顆粒を出すことは適切な治療の妨げとなるため、疑義照会が必要です。

誤り:1(サリチルアミド)、2(アセトアミノフェン)
これらは解熱鎮痛成分です。前立腺肥大症や下部尿路閉塞との直接的な関連はなく、この病態において禁忌とはされていません。

誤り:4(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物)
中枢性鎮咳薬であり、咳を鎮める目的で配合されています。排尿障害への影響はないため、本問の禁忌成分には該当しません。

誤り:5(アンブロキソール塩酸塩)
痰を出しやすくする去痰薬です。こちらも下部尿路閉塞性疾患に対する禁忌の根拠はありません。

【実務のポイント:病態禁忌を見抜く「推論」】
この問題は「プロメタジンとナフトピジルの飲み合わせ」が悪いわけではありません。
  • 構造の理解: 薬歴(ナフトピジル) → 病態(前立腺肥大症) → 禁忌(抗コリン薬:プロメタジン)というステップで考えます。
  • 配合剤の注意点: PL配合顆粒のような多くの成分が入った薬では、その中に含まれる「1つの成分」が患者様の持病に悪影響を与えないか、常に注意を払う必要があります。