第111回薬剤師国家試験

◆ 問341

37 歳女性。経口避妊剤トリキュラー 28 の処方箋を持って薬局を訪れた。今回初めて本剤を服用するので、質問票に記載してもらったところ、15 年間の喫煙歴(1 日 10 本)があり、お酒は週に数回飲んでいることが分かった。なお、指導の際に本剤の写真(下図)が印刷されたリーフレットを用いて説明した。
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  • この薬は、性感染症のリスクを低下させます。
  • 初めてこの薬を服用する場合は、月経が終了した日から1 番目の赤褐色の錠剤 を飲み始めてください。
  • 通常、白色(大)錠剤を服用している間に月経がありますが、最後まで飲み 切ってください。
  • この薬を飲み始めるとむくみが生じるので、できる限り水分摂取を制限してく ださい。
  • この薬の使用中は禁煙してください。

◆ 問341

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


この問題は、37歳の女性患者様に対し、低用量ピルである「トリキュラー28」を初めて交付する際の適切なアドバイスを選択する内容です。避妊の仕組みだけでなく、生活習慣との関連性も重要となります。

正解:3(白色(大)錠剤を服用している間に月経(消退出血)があるが最後まで飲み切る)
トリキュラー28は、21錠の有効成分を含む錠剤と、7錠の有効成分を含まない錠剤(プラセボ:白色の大玉)で構成されています。この有効成分を含まない錠剤を服用している期間(休薬期間に相当)に、ホルモン値が下がることで「消退出血(月経のような出血)」が起こります。出血があっても服用を中断せず、28錠すべてを飲み切ることで、リズムを崩さずに次のシートへスムーズに移行することができます。

正解:5(使用中は禁煙する)
本症例の女性は37歳で、1日10本の喫煙習慣があります。低用量ピルの服用において、喫煙は血栓症や心筋梗塞などの心血管系障害のリスクを著しく高めます。特に「35歳以上で1日15本以上」の喫煙者は絶対禁忌とされていますが、本症例のようにその基準に達していなくても、安全性を考慮すれば禁煙を強く推奨することが薬剤師として適切な指導となります。

誤り:1(この薬は性感染症のリスクを低下させる)
低用量経口避妊薬は、排卵を抑制することなどで避妊効果を発揮するホルモン製剤です。コンドームのような物理的障壁ではないため、クラミジアやHIVなどの性感染症(STD)を予防する効果は全くありません。性感染症予防には別の対策が必要であることを伝える必要があります。

誤り:2(月経が終了した日から服用開始する)
経口避妊薬を初めて服用する場合、原則として「月経の第1日目」から服用を開始します。これを「Day 1 Start」と呼びます。月経が終了してからでは服用開始が遅くなり、その周期の避妊効果が不確実になる可能性があるため注意が必要です。

誤り:4(むくみが生じるので水分摂取を制限する)
ピルの服用初期には、ホルモンバランスの変化により「むくみ(浮腫)」が生じることがありますが、多くの場合、服用を続けるうちに体が慣れて改善します。このむくみに対して自己判断で「水分摂取を制限する」ことは、かえって血栓症のリスクを高める恐れもあり不適切です。症状がひどい場合は医師に相談するよう促すべきです。

【実務のポイント:トリキュラー28の構成】
トリキュラーは3相性の製剤で、錠剤の色によって含まれるホルモン量が異なります。
  • 赤色: 第1相(6日間)
  • 白色(小): 第2相(5日間)
  • 淡黄色: 第3相(10日間)
  • 白色(大): プラセボ(7日間)
飲み忘れを防ぐために、この順番と「28日間毎日決まった時間に飲む」ことの重要性を丁寧に説明しましょう。