第111回薬剤師国家試験
◆ 問92
平衡状態にある次の化学反応に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、ΔfH°は標準生成エンタルピー、(g)は気体状態、(s)は固体状態を表す。
NH3(g)+HCl(g) ⇄ NH4Cl(s) ΔfH°= -176.2 kJ/mol
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この反応はエントロピー駆動の反応である。
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縦軸に平衡定数の対数を、横軸に絶対温度をとると右上がりの直線となる。
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圧力を上げると平衡は右に傾く。
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温度を上げると平衡は右に傾く。
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アンモニアを加えると平衡は右に傾く。
◆ 問92
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、2、3、4、5
【出題ミスについて】
問題文には「標準生成エンタルピー(ΔfH°)= −176.2 kJ/mol」と記載されていたが、 ΔfH° は純粋な物質を単体から生成する反応にのみ定義されるものであり、NH₃ + HCl という二成分が反応する式に対して ΔfH° を使うことはできない。 正しくは「標準反応エンタルピー(ΔrH°)= −176.2 kJ/mol」であり、問題文の誤記によって出題が成立しないと判断され、解なし(全員正解扱い)となった。
「この反応はエントロピー駆動の反応である」→ 誤り。気体2 mol → 固体1 molなので
誤り:「この反応はエントロピー駆動の反応である。」
ΔS<0(エントロピー減少)
にもかかわらず反応が自発的に進むのは、
ΔH=−176.2 kJ/mol/
という大きな発熱(エンタルピー駆動)による。
ΔG=ΔH−TΔS
で、
ΔH
項が支配している。
誤り:「縦軸に平衡定数の対数を、横軸に絶対温度をとると右上がりの直線となる。」
van't Hoffの式
lnK=-ΔH/R・1/T+Cは横軸が 1/Tのときに直線。横軸をT(絶対温度そのもの)にとると直線にはならない(反比例型の曲線になる)。
正解:「圧力を上げると平衡は右に傾く」
反応式の気体分子数は左辺2(NH₃+HCl)→右辺0(固体)。圧力増加は気体分子数が少ない方(右)に平衡を移動させる。
誤り:「温度を上げると平衡は右に傾く」
なので、温度を上げると平衡は左(吸熱方向=逆反応)に移動する(ルシャトリエの原理)。
正解:「アンモニアを加えると平衡は右に傾く」
反応物の気体濃度増加→ルシャトリエの原理で平衡が右に移動。
固体・純液体は平衡定数に入らない→加えても平衡は動かない。これは国試頻出の引っかけです。
