第97回薬剤師国家試験
◆問248-249
67歳男性。災害時、救護所に本人のお薬手帳を持参し、医師に処方を求めた。お薬手帳を確認したところ、エナラプリルマレイン酸塩錠を服用していたことが判明した。救護所にはエナラプリルマレイン酸塩錠が置いていなかった。◆ 問248
◆ 問249
エナラプリルの薬理作用の機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。-
アンギオテンシン変換酵素を阻害して、アンギオテンシンⅡの生成を抑制する。
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アンギオテンシンⅡ受容体を遮断して、アンギオテンシンⅡによる血管収縮を抑制する。
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キニナーゼⅡを阻害して、ブラジキニン量を増加させる。
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一酸化窒素合成酵素を阻害して、一酸化窒素の生成を抑制する。
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ホスホリパーゼA2を阻害して、プロスタグランジンの生成を抑制する。
◆ 問248
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:2
エナラプリルは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であり、アンギオテンシンⅡAT1受容体遮断薬であるバルサルタン錠と適応、使用法、作用機序が近似している。そのため、エナラプリルの代替案には、バルサルタンが最も適切であると考えられる。
◆ 問249
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:1、3
エナラプリルは、ACEを阻害し、アンギオテンシンⅡの生成を抑制し、アンギオテンシンⅡによる血圧上昇を抑制するとともに、ACEと同一酵素であるキニナーゼⅡを阻害してブラジキニンの分解を抑制し、ブラジキニンによる降圧作用を増強する。また、ブラジキニンによる気管支収縮作用が一因となり、副作用として空咳を誘発しやすいことも知られている。