第98回薬剤師国家試験
◆ 問182
57歳男性。5時間前に左前胸部痛が突然出現し、2時間程続いたので近医を受診した。急性心筋梗塞の疑いがあり、心電図上、心室性期外収縮の頻発を認めたため、緊急措置としてリドカイン塩酸塩の筋肉注射を受けた。その後、救急病院に転送された。救急病院入院時の心電図検査で胸部誘導にST上昇が確認された。この患者の病態及び治療に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。-
クレアチンキナーゼ(CK)の総活性は、筋肉注射の影響を受ける。
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トロポニンTを測定したところ、高値を示した。
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心エコー図で左心室の動きに、異常は認めなかった。
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冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)の適応も考えた
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リドカイン塩酸塩の静脈内投与を開始した。
◆ 問182
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:3
クレアチンキナーゼ(CK)は、骨格筋や心筋細胞に多く存在する酵素である。筋肉注射により筋肉組織が破壊されるとCKの総活性は高値を示す。
心筋が壊死することにより、心筋細胞に含まれている酵素(トロポニンT、CK、乳酸脱水素酵素)が血液中に流出するため、それらの酵素は高値を示す。
左前胸部痛が突然出現していることから、心エコー図で左心室の動きに運動異常が認められる可能性が高い。
本症例では、5時間前に左前胸部痛が突然出現していることから、アルテプラーゼを用いた冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)が行われることがある。
リドカイン塩酸塩の静脈内投与は急性心筋梗塞時の心室性不整脈の予防に用いられる。