第98回薬剤師国家試験

◆問208-209

48歳男性。腎移植後、拒絶反応予防のため、タクロリムス水和物顆粒剤を1回5 mgで1日2回経口投与されている。

◆ 問208

タクロリムスに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • 顆粒剤からカプセル剤への切り換えに際しては血中濃度をモニターし、吸収変動がないことを確認する。
  • 血液中で多くは赤血球画分に分布する。
  • フェノバルビタールの併用により血中濃度が上昇する。
  • 乾燥弱毒生風疹ワクチンとの併用は禁忌である。
  • スピロノラクトン投与中の患者には禁忌である。

◆ 問209


◆ 問208

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


顆粒剤からカプセル剤に変更すると、血中濃度推移が変化することがあるため、血中濃度をモニターし、吸収変動がないことを確認する必要がある。


タクロリムスは、血液中で赤血球画分に多く分布する。


タクロリムスは主にCYP3A4で代謝されるため、CYP3A4誘導薬(フェノバルビタール、リファンピシンなど)と併用すると、血中濃度が低下することがある。


免疫抑制下で生ワクチン(乾燥弱毒性麻しんワクチン、乾燥弱毒性風しんワクチン、経口生ポリオワクチン等)を摂取すると、発症する可能性があるため、タクロリムスと生ワクチンの併用は禁忌である。


タクロリムスは、副作用として高カリウム血症を引き起こすことがあるため、タクロリムス服用中はカリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、トリアムテレン)の併用あるいはカリウムの過剰摂取を行わない。

◆ 問209

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:4


タクロリムス水和物は、マクロライド系抗生物質に分類される。


L−プロリンは、環内に窒素を含む5員環構造を有している。
98回問208-209画像1
タクロリムスは、環内に窒素を含む5員環構造を有していないため、タクロリムスの構造中にはL−プロリンは含まれていない。


テトラヒドロフランは、環内に酸素を含む5員環構造を有している。
98回問208-209画像2
タクロリムスは環内に酸素を含む5員環構造を有していないため、タクロリムスの構造中にはテトラヒドロフランは含まれていない。


四角で囲まれた三置換アルケンは、優先順位の高い原子(原子団)が反対側に存在するため、Eである。
98回問208-209画像3


タクロリムスは強アルカリ性条件下で分解されやすい。