第98回薬剤師国家試験

◆問302-303

68歳男性。身長160 cm、体重50 kg。2年前に大腸がんの手術を受けたが、再発を認めたため、以下の処方(FOLFIRI)にて治療を受けることになった。
98回問302-303画像1

◆ 問302

この処方に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 処方1は、インフュージョンリアクション(infusion reaction)の予防のために使用する。
  • 処方2は、処方3の薬剤の効果を高めるために使用する。
  • 処方3は、アルコールを含有しているため、アルコールに敏感な患者には使用しない。
  • 処方4は、ルアーチップタイプの注射器を用いて混合•調製することが適切である。
  • 処方5は、携帯型ディスポーザブル注入ポンプを用いることにより、入院しなくても実施ができる。

◆ 問303


◆ 問302

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:5


処方1は、FOLFIRI療法実施中に現れる悪心・嘔吐の予防のために使用する。


処方2は、処方4、5の薬剤の効果を高めるために使用する。


処方3の添加剤や溶媒には、アルコールは含まれていない。


処方4のような抗悪性腫瘍薬は、注射針の脱落を防止するため、ルアーロックタイプの注射器を用いて混合・調製する必要がある。


携帯型ディスポーザブル注入ポンプとは、一定速度で薬物を注入できる装置のことであり、この装置を用いると、患者自身が自宅で処方5を投与することができる。

◆ 問303

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


イリノテカンは、体内でカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN−38)に変換される。SN−38は、主に肝の代謝酵素であるUDP−グルクロン酸転移酵素(UGT)の一分子種であるUGT1A1によりグルクロン酸抱合され、SN−38のグルクロン酸抱合体(SN−38G)となり、主に胆汁中に排泄される。
UGT1A1には、UGT1A1*6UGT1A1*28などの遺伝子多型が存在し、UGT1A1*6もしくはUGT1A1*28の遺伝子多型を有する患者では、SN−38の代謝が遅延する傾向にある。
これらのことから、UGT1A1*6のホモ接合体である患者に対しては、イリノテカン塩酸塩を投与することができないため、イリノテカン塩酸塩をオキサリプラチンに変更したFOLFOX6療法が行われる。