第99回薬剤師国家試験
◆ 問117
真核細胞におけるメッセンジャーRNA(mRNA)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。-
3'末端に付加されるポリ(A)(ポリアデニル酸)は、mRNAの安定性に関与する。
-
多くの遺伝子において、ポリ(A)の付加に関与するシグナル配列が存在する。
-
5'末端のキャップ構造は、転写開始反応に関わる。
-
核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)は、スプライシングに関与する。
-
スプライシングにより、1つの遺伝子から複数種のmRNAがつくられることがある。
◆ 問117
◆領域・タグ
◆正解・解説
正解:3
mRNAの3'末端に付加されているポリ(A)は、エキソヌクレアーゼによるmRNAの分解を防ぐ作用を有するため、mRNAの安定性に関与している。
多くの遺伝子には、ポリ(A)付加に関与するシグナル配列(AAUAAA)が存在し、合成中のRNAは、ポリ(A)付加に関与するシグナル配列付近で切断される。その後、ポリ(A)付加に関与するシグナルを認識することができるポリ(A)ポリメラーゼが作用し、ポリ(A)が付加される。
5'末端のキャップ構造は、mRNAの分解を防ぐ働きを有する他、翻訳の開始反応に関わる。
スプライシングとは、転写により合成されたヘテロ核RNA(hnRNA、mRNA前駆体)からイントロン部分を除去してエキソン配列同士を結合させる反応である。スプライシングには、核内低分子RNA(snRNA)とタンパク質の複合体である核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)が関与している。
選択的スプライシングにより、1つの遺伝子から複数種のmRNAが作られることがある。
参考
・選択的スプライシング
mRNAの成熟過程において、同一の遺伝子から異なる組合せでエキソンを結合し、複数のmRNAが作られる機構のこと