第99回薬剤師国家試験

◆問324-325

病院における医療チームには、診療科ごとのチームのほかに、栄養サポートチーム、感染制御チーム、褥瘡対策チームなどの活動範囲が複数の診療科にわたる機能別のチームがある。

◆ 問324

チーム医療における薬剤師の行為に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • 感染制御チームの一員として、医療スタッフに対し、抗菌薬の適正使用について教育を行った。
  • 褥瘡対策チームの一員として、外用薬の選択及び塗布方法について患者に説明した。
  • 栄養サポートチームにおいて、経口による栄養摂取が可能な患者に高エネルギー投与が必要と考え、TPN(Total Parenteral Nutrition)を提案した。
  • がん化学療法チームにおいて、イリノテカンによる遅延性下痢が発現した患者に対し、半夏瀉心湯の使用を提案した。
  • 緩和医療チームにおいて、がん性疼痛を訴えた患者に対し、モルヒネが投与開始となったので、予防的な緩下剤の使用を提案した。

◆ 問325


◆ 問324

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3


薬剤師は感染制御チームの一員として、以下のことを行う。
・医療スタッフに対して抗菌薬の適正使用についての教育
・院内における抗菌薬の使用状況のチェック
・抗菌薬の選択についての提案 等


薬剤師は褥瘡対策チームの一員として、以下のことを行う。
・褥瘡の状態に応じた外用薬の選択
・患者及び医療スタッフに対して褥瘡治療薬の使用方法の説明 等


薬剤師は栄養サポートチームの一員として、以下のことを行う。
・患者の状況に応じた栄養療法の支援 等
経口による栄養摂取が可能な患者に対しては、経口栄養法が望ましいことから、経口投与が可能な患者に対しては、中心静脈栄養法(TPN)を提案することは適切ではない。


薬剤師はがん化学療法チームの一員として、以下のことを行う。
・がん化学療法における副作用に対する適切な処置の提案
・適切な抗がん剤の選択についての提案 等
イリノテカンによる遅延性下痢が発現した患者に対し、半夏瀉心湯の使用を提案することは適切である。


薬剤師は緩和ケアチームの一員として、以下のことを行う。
・急に強い痛みが生じた患者に対する臨時追加投与(レスキュードーズ)の提案
・疼痛コントロールがうまくいかなくなった場合の他のオピオイド鎮痛剤への変更の提案
・便秘などの副作用を軽減するための処方を提案 等

◆ 問325

◆領域・タグ

◆正解・解説

正解:3、5


チームの治療方針は、チームの構成員が個別に設定した目標に基づいて決定するのではなく、患者や家族を含めたチーム全体で決定する必要がある。


医療チーム内のスタッフ間で患者情報をできるだけ共有し、患者の状況あわせた医療を提供すべきである。


薬剤が投与されていない患者についても、他の医療スタッフより、薬物療法の可能性について問われることがあるため、薬剤師がチームに関わる意義がある。


診療科の多少に関わらず、医療チームを構成することが求められる。


チーム医療は、患者や家族を中心として、多種多様な医療スタッフが高い専門性を発揮することにより、最良の医療の提供を実現するものである。このことから、チームの構成員に患者や家族を含める必要がある。